ファンタジア

ヘスティア8

「エルファ…君。無事だったんだ…」
「譲ちゃん、知り合いか?」
 ブルムンクスがつい言葉が出てしまったヘスティアに尋ねた。   「まあ…。一緒に旅をしてる」
 ジェントがエルファをベッドに移そうとすると、エルファのエメラルドグリーンのマントがはらりと動いた。
「あ」
 エルファの白い翼の端がヘスティアの位置から少し見えた。
 あとちょっとでも動かすと翼がすべて出てしまいそうだった。
「ちょ―――っとストーップ!!」
 反射的にそう言うとジェントに抱かれているエルファにすごい速さで飛びついた。
「…何だ?」
「この子仲間なんで…私が面倒を見ています」
 適当に口からでまかせを言ったあと、自分で思った。
(何いってるんだろ、私…我ながら何てつじつまのあわない言い訳…)
 ちょっと言ったのを後悔していると、ジェントが言った。
「分かった。あんたに任せようか…しかしあんたのその華奢な腕じゃ支えきれないが」
「ありがとう…」
 少し面食らっているとジェントが手を離した。
 …思ったよりも軽い。
「俺はまだ少し用があるからもう行く」
 さっさとヘスティアにエルファを預け、ジェントは扉の方へ歩いていった。
 ヘスティアはエルファをベッドに移すとマントをかけなおした。
「…危なかった」


 一方、楽はというと。
「やっぱり暑いですね…砂漠は」
 今だ砂漠を歩きつづけていた。
 喉が渇いたので立ち止まり、水筒の水を飲みながら呟いた。
「しかし…テントは自分が持っていたのでよかった……」
 水筒をしまうと楽はまた歩き出した。
「少し急いでいかないと……再会できるかも分からない」
 2人は無事だろうか。
 まだあどけなさが残る翼を持つ少年と、気は強いがどこかがぬけている…少女。
 少女という表現で合っているのかは分からないが…。
 とにかく楽はワジュールへ足を速めた。

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