外は、思ってた以上に人がいた。
たいまつを飾った店に、色んな人たちが出入りしてゆく。
メル達のような団体もいたし、ひとりで動いている人もいた。
(…あ)
子供だ。
だいぶ離れてはいるけど、確かにウェンと左程かわらない年頃の子供がいる。
しかも、たったひとりで。
もう少し目を追っていたかったけど、メルディスが歩き出してしまった。
振り向いてみたら、もう彼はそこにはいなかった。
「まずどこ行こっかー?」
まるで友達と買い物に来ているようにメルが聞く。
「確かこの近くに武器屋があったね。
そこにしよう」
誰の意見も聞かずに進路を決める。
するとサダインが道案内をはじめる。
角をまがって、少し歩けばすぐに見つかった。
たいまつが、紅い炎で看板を照らす。
読みにくいけれど、ダロムルグと書いてある。
「ここが僕の知ってる中で一番品が善い武器屋。
運が良ければ在村の刀もあったりするよ。
多少値は張るけど、メルが好きそうなとこだよ」
そう言って扉を押す。
きぃ……と音がして扉が開く。
店のなかにはずらりと剣が飾られ、その下に値札らしきものがかけられていた。
奥のカウンターには男がひとり座っていて、メル達が入っていくと愛想なく会釈した。
たぶんあの人がこの店の主人なのだろう。
自分たちの他に何人か客がいたが、彼らは自分たちになんの興味も示さなかった。
メルははじから1つ1つ剣や刀を見ていった。
ただ立っているのも退屈だから、周囲に気を配って自分も武器をみてみた。
それからどれだけの時間がたっただろう?
メルはまだ武器を見ている。
やっと半分といった所だろうか。
彼は1つ1つ、じっくりと見ている。
形も傷も何もかもを記憶しようとしながら。
時々ハイラヴァに同意を求めて話し掛ける。
彼女は少ない言葉でメルに答えた。
特に気に入ったものがあると、店の主人に断ってから手にもって見たりもしている。
主人は軽く頭を振ってOKを出しているが、その目はいちいち聞くなと迷惑そうに訴えていた。
そんな主人を見兼ねて、サダインが主人に話し掛ける。
彼等は古くからの知り合いらしく、主人は満更でもない表情でサダインと話を始めた。
自分は、ただ退屈でたまらない。
剣術は一応習いはしたが、どうも自分には合わない気がして気に入らない。
それと言う程気を引く物も見当たらない。
(……臨)
臨。印の最初の一文字。
唱えて指を結ぶ。
(兵…闘…者…)
唱えては指を結ぶ。
印は精神を統一して自分の力をフルに解放させるためのもの。
けれどウェンはこの感覚を好み、暇になると目を閉じて印を結んでいた。
(皆…陣…列…在…)
印を結ぶと、神経が研ぎ澄まされて、とても心地が良い。
数秒前に感じていた退屈はどこかえ消えてしまった。
(…前!)
ドクン……!
最後を唱えて結んだとたん、ウェンに不思議な感覚が舞い降りた。
(なんだ……誰?)
誰かいる。
自分よりも強く、大きな存在が。
(外……?)
その気配に、自分達への敵意はない。
殺意らしきものもない。
この明らかに他と違う存在に誰も気付いていないところを見るときっと隠してはいるんだろう。
……実際、自分も印を結ぶまでは気付かなかった。
気配は店の前を通って、次第に遠ざかっていった。