ワジュールは、砂漠の街である。
昼の舞い上がる砂を避けるために、
また夜の寒さを凌ぐためにマントは必需品とされた。
「君もこれを羽織るといい」
そう言ってメルディスはウェンにもマントを渡した。深い闇色を秘め、無地ではあったが立派なものだった。
(少し重い……かな)
マントを羽織ってみて、ウェンは感じた。
このマントは一般のものよりもずっと軽く作られている。
けれどより早く素早く動くことを望んだ宗奉忍者はどんな重みにも敏感になっていた。
(別にいらないんだけどなー……)
「それ、着てたほうがいいよ」
「!」
まさか気付かれるなんて思っていなかった。
できるだけ平常を保った表情でいたはずだ。
ほんの少し表情をしかめはしたが、それは本当に一瞬のこと。
(……なんか、オレ驚きっぱなしだ……)
どこからか鐘の音が聞こえる。
ゆっくりと、しかし確かに鐘が鳴っている。
7つ目の鐘が鳴り終わると同時に、外が一転して騒がしくなる。
「じゃあ僕たちも行こうか」
メルディスを先頭に、4人は外に出た。