ファンタジア

ウェン10

「御予約頂いたお部屋はこちらでございます。」
 まず最初に向かった場所は宿屋だった。
 宿に入ると、支配人らしき人物が出迎えてくれた。
 簡単な挨拶を済ませると、女中にメルたちの案内を任せてまた仕事へ戻っていった。
 女中に導かれてついた部屋は広く、そんなに豪華ではなかったが立派なものだった。
 奥に寝室が3つ、人数は4人。
 ウェンとサダインは相部屋になった。
「何か御用がありましたらそちらの呼び鈴でフロントの方へおかけくださいませ」
「ありがとう。
 あ、そうだ。フェルデンを呼んでくれる?」
「かしこまりました。」
 メルディスは再度女中に礼を言いチップを渡した。
 彼女はそれを服のポケットにしまい、深くお辞儀をして部屋をでていった。

 数分後、さっき入り口でメルたちを出迎えた男が入ってきた。
 彼は本当に支配人らしく、またメルの友達でもあるらしい。
 しばらく2人の会話が続いた。
「しかしメル、お前の今度の商品……本気で売りに出す気か?」
「ああ。もう飽きたしね。
 別のがもうあるから、あれはいらない。
 なんでそんなこと聞くのさ?」
「あ? ん、いやな、俺の知り合いで有翼人を欲しがってたヤツがいてさ。
 そいつに譲ってやりてぇなーと……」
「それはダメだよ。
 確かに有翼人だから欲しいって言う人は五万といる。
 でも僕はあの子で遊びに来たんだ。
 あのオモチャが、他者にどれほどまで評価されるか。
 それが楽しみで僕は闇市に来たんだ」
「……相変わらずな趣味だこと」
 フェルデンがタバコを取り出して日をつける。
 煙を吐く。
 それと同時に扉がノックされる。
 ハイラヴァが扉を開けると、さっきとはまた別の女中がフェルデンをまっていた。
「んじゃ俺は仕事に戻るぜ」
 フェルデンがタバコを銜えたまま扉まで歩いて、ふと思い出したようにつけたす。
「……メルよぉ、気ぃつけなな。
 お偉方の中にゃおめェを良く思わねェ奴がいるみたいだ」
「……御忠告感激痛み入るね」
「ほんじゃな」
 ぱたん……と音がして扉が閉じる。

「さて、じゃあ買い物にでも行こうかな」
 わずかに間を入れて、メルディスがつぶやく。

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