砂漠の砂は冷たかった。
俺は明け方に焚き火の始末をして、動き出した。
すぐに町へ戻ろうかとも思ったが本当の砂漠の砂も少し採集しておかなければなかった。
空は明らんできたが日はまだ見えない。
寒さも尋常ではなかったが、砂の中に手を突っ込むと少し温かかった。
砂漠の終わりから町まではちょっと距離がある。
ここは砂漠のすぐ近くだから、日が昇りきるまでには着かないと少々辛い。
向かっている町は、地図上では砂漠の西端の少し上にある。
ちょっと東へ行くとアスリースに入る。
そこは、俺がストレシアに入ってから二つ目の町だった。
多少暑いという欠点を除けばとても居心地の良いところだと思った。
「お?」
日が中ごろまで昇り、街もすぐ近くに見えるという頃だった。
三人の若者が目の前に立ちふさがった。
普通の服を着てはいるが、左から槍、剣、ナイフを持っている。
どう見ても、ちょっと遊びに来た町の人、という格好ではなかった。
「…………。えーっと、出迎えを頼んだ覚えはないけど、何かな?」
「どこから来た」
「え?」
「どこから、来た」
「……。どこからって、……砂漠からさ」
右斜め前の男がにやりと笑った。
突然左端の男が槍を構え、迫った。
ボス!
突いてきた槍を横に飛んで避ける。しかし、翻ったマントに風穴を開けた。
「お、おおい。危ないじゃないか!?」
「ちっ」
真ん中の男が舌打ちをして、剣を構えた。
「おいおいおいおい! なんなんだお前ら」
構えがきちんとしている。
これはまずい、逃げよう。
「おっと、そうはいかねえよ」
きびすを返し逃げようとすると、いつの間にか囲まれているのに気がついた。
「! 速い」
これではっきりした。こいつらは盗賊だ。しかも相当の奴らだ。
なんて運が悪いんだ。
「!!」
後ろから剣が振り下ろされる。
避けきれず、剣は腕をかする。
背後から殺気。
反射的に前へ逃げる。
目の前の男は二撃目を打たんとして剣を振り上げ、俺は慌ててナイフを抜きそれを受け、流す。
そのままダッシュ。
後ろから追ってくるのがわかる。
「どーなってるんだよ」
町の中へ逃げ込んだ。