元来リズマンというのは好戦的な種族である。それに好戦的な構造をしている種族でもある。
特徴である鱗は幾重にも重なっておりまさしく天然の鎧と言えるし、その下の頑丈な筋肉は力と速さを与えてくれる。
硬く、速く、強い。
大陸規模でリズマンが優秀な戦士になりうる所以である。
リョウルクは平均的なリズマンからしてみれば、それほど好戦的でもない方であった。身体は大きく力も強いが、傭兵になりたいとかテーヴァの侍になりたいとも思わない。男衆の義務である武術の鍛錬も侍衆の代表武器である刀--リョウルクにしてみれば短すぎる刃物ではなく、一般的に使いやすい、それゆえ下衆の武器とされる長巻を使ったのも向上心がまるでなかったためであった。
変わり者のリズマン。
そして男衆最強の者。
硬く凝り固まった国の--弾け足りない若人がそんな「漢」に集まって来たのは必然
の道理だったのかもしれない。
何もかも取り払ってしまうとリョウルクは常に一人であった。
目標がない、ただ漠然と皆に合わせて生きる毎日。やりたくもない鍛錬をゆるりとこなして、意味を見出せない勉学をぼうと学び、勝手に集まってきた男衆の若人の話に口を合わせる。
深く考えたことはなかった。
自分ははこれからも漠然と時を過ごし、なんとなくどこかの――当たり障りのない侍衆にでもなると思っていた。なりたいとは思っていなかったが、そんな人生なのだろう、とは考えていた。だが、何も考えていなかった。
自分は何をしたいのか。
自分は何をするために生きてきたのか。
自分は何のためにいるのか。
自分に何の意味があるのか。
自分は何だ。
嵩の問いかけに一向に気づかずリョウルクは考え続けていた。