海。真っ青な海、そして空。
青、蒼、碧……見渡せば、辺り一面があおく輝いている。
そんな一面真っ青な世界を、ゆったりと進む船の甲板に、リエルは居た。
クロスドと共に町に着いてから、ちょうど三日後、二人は船に乗った。
“歌う亡霊”が出る、とかいうくだらない(とリエルは思う)噂の所為で、出発は遅れ、コースは遠回りになってしまった。
普段、ラジアハンドからアスリースまでは、ラジアハンドのロポポから東へ向かって出発し、内海を通りアスリースのレクサへと船を進める「アロラド航路」を通っていく。
「アロラド航路」というのは、九世紀中頃に「アロラド・レーテ」が発見した航路で、今までの、ラジアハンドの西側から回り込む「アステカ航路」の約半分の日数でアスリースまで行くことのできる航路である。
しかし、今回の“歌う亡霊”は、この大陸内海に出没するので、リエル達は「アステカ航路」を通って、アスリースに行かなければならなかった。
ラジアハンドからアスリースまで、「アロラド航路」でも早くて二,三ヶ月かかる。
ということは、リエル達はその倍の五,六ヶ月も船旅を続けなくてはならなかった。
そのため、船に乗ってるのは、どこかの貴族とその連れが数人、ドラゴンを連れた若い男、それとリエルとクロスドだけだった。
乗組員もすくなく、合わせても二,三十人いるかいないかだった。
しかし、何故ドラゴンが船に乗るのだろうか。
ドラゴンには普通、大きな翼があるはずだ。その大きな翼で飛んでいったほうが、船で行くより、何倍も早い。
しかも、船に乗っているドラゴンは、小さくて、ウルサイ。さらに、小さいくせに、よく食べよく寝て、態度がデカイ。
自分が寝坊して朝食を食べれなかったのを、連れの若い男の所為にして、自分の分がないと、怒ってすねる。
しかし、だからといって、リエルは特別気分を悪くしたりはしない。
所詮は他人事だ。と、そう思っていたからだ。
しかし後にリエルとクロスド、そしてわがままなドラゴン・エンペランサとその主人・ブレスが一緒に旅をすることになる―――――
船に乗っていては、食べることと寝ること以外、やることなんてそうない。
リエルは有り余るほどの時間をほとんど甲板で過ごしていた。
これから、まだ五,六ヶ月は海の上だ。
リエルには「退屈」ということは無い。たばぼぉっとしてるだけでも、時間はどんどん過ぎてゆく。
夜は星を見て、昼は雲を見る。朝は明るくなるその輝きを、夕は沈む赤い光を。
毎日船の同じ場所で、同じ光景をみる。しかし、いつも違う輝きを、リエルは見ていた。
星は毎日移り変わるし、雲も同じ形は二度とない。朝や夕の日の出や日の入りも、毎日が同じでは決してない。
リエルはそんな光景をみて、楽しんだ。
しかし、平穏な日々もそう長くは続かない。
船が出発してから約一ヶ月後、船に、恐れていた災いがふりかかる。
しかしそれは先の話。リエル達は、まだ何も知らないのだから――――