ファンタジア

リオ24

第二十四章    のどかな散歩

「あ、雨やんだみたいだぞ」
 地下から出て、すっかり晴れた……といってももう薄暗い景色を見渡してエーリックが言う。
「行くか」
「そうだな」
 少しでも進んでおいた方がいい。
 というより、あの屋敷から出来るだけ遠ざかった方が好いだろうと、三人は再び山登りをはじめた。
「今日は何処で寝るんだ?」
「寝ない」
「は!?」
 真剣な瞳でエーリックが言う。
「だってこんな物騒な山の中で寝れるか? かっこうの餌食だぞ」
「そうだけど……」
「…………」
「…………」
「――というのは冗談だ。何、もう少し行けば小さな村がある」
 ニカッと微笑む。
 街ではなく村という辺りが、その場所の狭さを物語っている。
「本当に小さいがな……」
「どのくらい」
「どのくらいと言えないほど、小さな村だ」
 余計疲れがでる。
 眠らないよりはいくらかマシか、と思いなおそうと努力はする。
 だがどれだけ歩いても一向にその村らしきものは見えて来ない。
「〜っ……ま、まだかよ」
「そうだなぁ……。あと、2.3kmってとこか」
「嘘だろ」
「本当だ」
「…………」
 どっと汗が出る。さっきから変わらない坂道。しかも今度はでこぼこしている為余計疲れる。
「つく頃は、真っ暗じゃないのか」
「多分な」
 エーリックはそう言ってふと、リオの方を見た。
 相変わらず疲労の様子は少しも見えない。ただの散歩をしているように無表情だった。
 ただ、両手を後ろにまわしている姿が滑稽だった。
「おい、後ろで何持ってるんだ?」
「…………」
 ひょいっとエーリックがリオの後ろに廻ってその手を見る。
「あ……それ、さっきフォルクスに貰った花じゃないか」
 リオはさっきフォルクスに貰ったアカシアの花を両手で大事そうに握っていた。
「ポケットかなんかに入れればいいのに」
 この坂で荷物を自ら増やしているリオが、妙におかしかった。

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