ファンタジア

レイチェル8

 それから三人は、巡り会ったレブルの森の一番近くの町……
 アロサルサで唯一の宿、スワニークで3人は宿を取ることにした。
 アルサロサは少数人口の町で殆どが農家だった。
 商店は少なく、武器屋、防具屋も町に1件ずつしかなかった。
 しかし、森が近くにあるからだろうか?
 木でできたお守り(ランディシャ)や綺麗な硝子玉が民芸品として数多くあった。

「かわいいお守りですわ〜! ねえ、リオさん〜」
 黙々とスワニークへ向かおうとするフォルクスとは反対に小さな民芸品屋からまったく動こうとしないレイチェルは小さなランディシャに心を奪われていた。
「ええ……そんなに気に入ったなら買ってみれば?」
 リオはあまり関心がない素振りでレイチェルに答えた。
 どうやらリオもフォルクスと同じく、早く宿に向かいたい気持ちなのだろう。
 しかし……そんなこともつゆ知らず……レイチェルは民芸品を隅から隅までながめ続けていた……その時!
 ついに、ごうを煮やしたフォルクスがレイチェルに宿の名前を書いた紙を置いて足場やに宿へと向かっていってしまった。
「後で必ず来るんだぞ! まったく……あれで……(以下省略……)」

「宿屋スワニークですわね……もう少し見てからいきましょ〜」
 それからレイチェルは黙々と民芸品の観察に精を出していた。

 それから1時間後……店の隅……客から見えるか見えないかの位置の所にレイチェルは違和感を感じた……。
 そこにあったのは小さな薄汚れた石……。
 不細工に蒼く光ってはいるが、なにかが他の石とは違う……。
「あの〜この石ってどうしたんですか?」
「ああ……お嬢ちゃん……その石のことがわかるのかい?」
 夕日が差し込む店内からレイチェルの呼びかけに答えたのは腰の曲がった老婆……その老婆は石のことを聞いたレイチェルに少なからず関心を示していた。
「それはねぇ〜……とても不思議な石での〜……今日見たいな紅月の日や蒼月の日とかに月にかざすとね〜なんともまあ美しい石になるんだよぉ〜」
「ほっ……本当ですかっ! それ〜!!!」
 レイチェルは老婆の話にいつになく興奮していた……。
「ああ……この石はそうゆう石だから大事にしろって……ええと……なんていったかなぁ〜えっと……花の名前の人が言ってた気がするの〜」
「…………花の…名前…」
「……? どうしたい〜お嬢ちゃん?」
「いえ……お婆さん、お願いがあるのですが、この石を私に譲ってくれませんか?」
 さっきとはうって変わってほんわかした雰囲気の欠片もないレイチェルに老婆は少し戸惑った様にも見えた。
「……いいや……この石は我が家の宝だからの〜」
「そこを……なんとか……なんでもします」
「……そうじゃの〜……見たところ、お嬢ちゃんは魔法が使えそうじゃの??」
「ええ…全般は…」
「わしに一番すごい魔法をみしてくれんかの〜」
「……魔法はそんな見物事で見せるものではありませんのですが……しかたないですね……ただし、1番ではありませんよ」
「嫌じゃ! 1番がええ!」
 強情な老婆にレイチェルは冷たい目線を送った。
「私の中の1番といいますと……この町なんて軽く消滅しますが……?」
「……やっぱりええ…そうじゃ! わしの腰の腰痛を治してくれんかの? この町にはヤブ医者ばかりでの…なかなか治らんのじゃ」
「それでしたら……」
 そう言ってレイチェルは呪文の詠唱に入った。
「大地神マーヴァリースよ……我が名はレイチェル・ヴァレスト……
汝の大いなる慈愛の御心を光とし、我が名のもとにその姿を現わせ!
ラディレール!!」
 そう言って光りが老婆の腰から消え去ると、老婆は満足したように頬を赤らめて言った。
「すごいっ! 若返ったようじゃ! あんた、この町の医者にならんか?」
「いいえ……私にはやらなければならない事があるので……」
「そうかい……ざんねんじゃ、ほれ……例の石じゃ好きにせい」
「わぁ! ありがとうございます〜!」
 また口調が一変したレイチェルに老婆はまた少し驚いた様だった。
 そして、ランデシャを2つ買って宿へと向かったレイチェルは大満足の顔を浮かべていた。
「ルールル〜♪♪ ……いい実験材料が手に入りましたわ〜これで紅月の問題も……もしかしたら、ルンドの問題も解けるかもしれませんわねv」

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