ファンタジア

レイチェル7

 そして、レイチェル達は町の街道を外れた森の奥のあばらや……ドルヴァンが言っていた場所に付いた。
 闇取引には打ってつけの場所のようだ……その証拠にあばらやの背後には大きな川がゆったりと朝日を浴びながら流れていて、何艘もの小さな木製の小船がいつでも出れるように簡単な紐ででばった杭に結われていた。

「さっさと物を届けて残りの報酬をもらうとするか」
「闇取引の現場ですね〜ドキドキします〜」
「あのな……遠足じゃないんだぞ……」
 げっそりとしたフォルクスに構わずにレイチェルはどんどんあばらやに向かっていき、いきなり扉を開けた!
「なっ! そんなことするヤツがいるか!!」
 フォルクスはレイチェルの挙動不審な行動に思わず張り声をあげた。
「……あら?誰もいませんわね?」
「えっ……」
「……いなくなってしまったのかしら?」
「そんなハズは……まさかっ!」
 そう言いつつフォルクスは急いで表に出た。
 するとそこには何人もの警備隊と柄の悪い男連中が二人を囲っていた。
「あら? いつのまに沢山の人が……」
 そう言ってレイチェルがフォルクスの前に行こうとするのをフォルクスは力強い腕で押し戻し、そして町の方角に思い切り走り出した。
「こいつらは多分、あんたを連れ戻しに来た連中だ! 早く逃げるぞ!」
「えっ!? でもなぜここにいるのが分かったのかしら? 変装までしてるのに〜」
「そんなもん! あのドルヴァンがおおかたあんたののってる手配書を見て、それを仲間に知らせて俺をあんたの誘拐犯と宝刀の盗人の罪をきせるためにきまってんだろ!」
「でも、そんな事したら宝刀は〜」
「宝刀はどうせ奴らのもんになるさ……警備員と一緒にいるのがいい証拠さ……どうせ買収でもしたんだろう!」
「!! 買収!! なんて事を! そんな事をしては国が乱れますわ〜!」
「そんなのストレシアじゃ日常茶飯事なんだよ! それにあんただって国乱しの真っ最中だろう!」
 走りながらの会話は流石に苦しく、あまり走るとゆう動作をしないレイチェルにとっては目眩がしそうなくらい苦しかった。
 そしてすぐ後ろには警備員が2人柄の悪い男が3人でレイチェル達を、まるで狩りをするかのごとく追いかけてくる。
「くそっ! こんな奴らに追いかけられるなんて冗談じゃない……レイチェル! さっきの移動魔法を!」
「はい〜……それじゃあ実験中の省略バージョンで〜」
「いいから速く!!」
「レージラール!!!」
 くるりときびすを返したレイチェルがそう一言言うと、レイチェルとフォルクスの身体は一瞬にしてその場から消えた……。
 追いかけてきた男達はただ呆然をするばかりであった……。

 次にレイチェル達が目を開けた瞬間、小さく女性の声が聞こえた……。

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