「大丈夫ですか……? まさかっ!! また、お腹痛くなったんですか?」
「……いや……違う……そうだ、もし……この世から精霊のたぐいが消えたらあんたはどう思う?」
「……高度な問題ですわね……私もその事に近い事で国を出てきたわけですし……そう、まず……世界の破滅が近くなる事は避けられないでしょうね」
間延びもしていない凛とした声音にフォルクスは少なからず驚いた。
レイチェルが国にビショップとして仕えていた時……位が高いからと言って毎日を傲慢に……贅沢に生きている大臣や王の前では間延びした声ではしゃべらない事が多かった……。
レイチェルがこういったしゃべり方をするときは相手を卑下している時か、本当に真面目に喋っている時かだ。
今は無論真面目に話しているのだが……。
王達の前では卑下の意味で喋っている時の方が多かったのかもしれない……。
レイチェルがこういった不思議な口調になってしまったのは昔に起きたあの事件の責なのかもしれない。
「そして、神力や魔力も弱まり……いずれは魔法等が使えなくなるのだと私は思っています・・その例に……最南にある帰らずの島の事を知っていますか?」
「帰らず島!? あの島か……? いや……あの島の事は誰も知らないんじゃないのか?それに知っていたとしてもありきたりな昔話だし……」
「そう、きっとそれはこんな感じではなかったですか?」
「……悠久の昔の事……
一人の若者が名も無き島に難破した船から流れついた……
そして、その島でたった一人の絶世の美女がその若者を島に迎え入れた……
しかし、その若者には大陸に恋人がいたが
若者はそれきり……帰ってこなかった……
それから……その島は帰らずの島と呼ばれ、誰一人として
近寄らなくなった……と」
「ああ、たしかそんな感じだったな……命知らずのアカデミーの連中が昔、船でその島に行った事があったが、誰一人として帰ってこなかったからな……」
「……フォルクスさん……知ってました? この話しには絶望とでも言うべき続きがあったんですよ……」
「えっ……?」
「あっ……いえ、気にしないでください、実はその帰らずの島には精霊が存在しません」
いきなり話しをそらされて前の話しの続きが気になったがどうやら次の話しも気になったのか……フォルクスは何も言わずにレイチェルの話しに耳をかたむけた。
「精霊がいない……? どうゆうことだ?」
「帰らずの島は精霊さえも居られない聖域なのです……聖域は常人はもちろん、どんなに力があっても特別な者にしか絶えられない程の力を常に放っています」
「特別な者? それは……あんたみたいなビショップ様とかか?」
「いいえ、神・魔……どちらも極めた私でも聖域にこの身で入ることは許されません……聖域が招くのは……死です」
「死……!? それでは、物語に出てきた美女っていうのは誰なんだ?」
「島の美女……簡単に言うと神々の国から堕落した神……いえ、魔女でしょうか」
「しかし、あんた……なんでそんなトップシークレット並な事を知っているんだ? 一国のビショップとはそれまでに……?」
「…………さあ〜何ででしょうね〜?」
一時の沈黙のあと……レイチェルはいつもの口調に戻っていた。
一番重要な事を聞き逃したフォルクスは小さく舌打ちをした。