その後、レイチェルは、なんとか酔いをさますと宿屋に登録しに行った……しかし、もうだいぶ夜更けであった事もあってか……宿は満員の様だった。
「……困ったわ〜どうしましょう〜」
いまさら、騎士達のテントにもいけないし……野宿も嫌だし……。
そんなこんなでまた酒場をうろうろし始めたレイチェルに客の一人がたまらず話しかけてきた。「よーねーちゃん……ぅぃっ! ……どーしたんだい……?」
うっ! 酒くさいっ!!
「えっ……あの、宿が満員の様で……」
「宿ぉ〜? 宿ならもう一つあるぜぇ〜」
「えっ!? 本当ですか?」
話かけてきた男は酔いが激しいらしく、足取りも、舌の滑りも悪かったし……ガラも良いとは言えなかったが、親切に越したことはない。
……と、思ったのだろうか?
レイチェルはその男の後をそさくさとついていってしまったのであった。
男が連れて来たのは、さっきの10倍は豪華な作りの一軒家。
それも、毒々しい程のイルミネーションが壁中に張り付けてある。
「……楽園サライト? ……ここですか?」
「ああ……ぅぃ! ……ここならアンタ見たいなかわいいお嬢さんを……。一晩ぐらい預かってくれるさ……へへ」
「……はぁ〜そんな所がこの世界にあったのね〜」
レイチェルは男と並んでその、豪華な楽園を見つめていた……。