「えーとぉ〜次の四聖はラジアハンドのセフィーダさんですわね〜」
「そうですね……いくら準備をしておけと言っておいてもレイチェル様抜きだと、出来ない事もありますし……」
「けど、オルドランさんとお会いできなくて残念でしたわね〜」
「まあ、しかたないでしょうね……この場合」
残念がるレイチェルをなだめる様にルンドが言った。
「アルフェリアさん……大丈夫かしら〜……?」
「その人にはその人の問題があります。それは今に始まった事じゃありませんからね……彼も…私も……レイチェル様も……」
「ええ……そうね」
そして、二人はレージラールでラジアハンド城へと帰還した。
いきなりの帰還に驚いたのは、大臣達だった。
「レ、レイチェル様! は……速いお戻りで」
「ええ、事情が変わったの。それで、用意はちゃんと出来ているのでしょうね?」
冷ややかなレイチェルの言葉に大臣達は秘かに凍りついた。
なにせレイチェルとルンド……このラジアハンドを裏で仕切っていると言っても過言ではない二人が居ない城でふんぞりかえれるのは今しかない! とレイチェル達が居ない半月……なにもせずに豪華に暮らしていたのだから……。
もちろん、この後……大臣達はレイチェルの冷ややかな冷笑と共に厳しいお仕置きを受ける事になるのだが。
自室に戻ったレイチェルはこの国のいい加減さを再確認した。
「まぁっーーーーたく! いい加減ですわ〜! こっちが汗水たらして剣を探して来てるっていうのに!!」
そんなレイチェルの小言を側で聞いていたルンドは思わず今回の旅を振り返って苦笑してしまう。
汗水たらしてって言うのはどうかなぁ?とか
剣も最終的に持って帰れなかったしなぁ?とか……。
しかし、ここで言うとレイチェルの機嫌を更に悪くさせてしまうので敢えてなにも言わず、王に挨拶に行って来る事を進めた。
「そうですわね〜。あの事件からなにも起こってないとは思いますけど、一応挨拶に行かないといけませんわね〜」
そして、レイチェルが出ていった後、ルンドはレイチェル様のお仕置きで各地のお偉い様方に渡す招待状を書きまくっている大臣達の監視に出かけた。
行く途中、礼拝堂の中を覗くと、少ない人ではあるがこれからのラジアハンドの行く末をになう少年少女達がラジアハンドに伝わる天使、『ラミスサイヤ』に祈りを捧げているのを見ると、なんだか微笑ましくなってしまった。
そんな光景を見ながら、自分も天使像をチラリと見やるとやはり、どことなくレイチェル様に似てると思ってしまう……しかし、レイチェル自信はそう言われるのをあまり好んではいない様だ。
「けど、なんでコロシアムでこの名を使ったんだろう?」
ルンドにまた一つ、レイチェルに対しての疑問が出来たのであった。
しかし、その答えをルンドはこの後、知ることは無い。
なぜなら、その答えは彼女のいつもの気まぐれで彼女の気まぐれは意味不明でルンドにとってもの凄く難解なクイズだったりもするのであった。
「ラジアハンド王、只今戻りました」
レイチェルが立て膝を着いて王の前に現れると王は少し嬉しそうに微笑んだ。
「レイチェルか……よく戻ったな」
「??」
いつもだったら、どうしてこんなに遅くなった!!とか、お前はビショップとしての〜とか……いろいろ文句やら苦情やら……と言ったモノが飛び交うのだが……今日の王はレイチェルに向けて寂しく微笑んだだけで、他に何も言わない。
「王? どうかしましたか? ……!」
よく見ると、少し痩せた様に頬が痩けた王に気付いたレイチェルは、初めて王を気遣う言葉が口から出た。
その言葉にレイチェル自信もビックリしたがもっと驚いたのは王だった。
「……心配…してくれたのか? ……わしを……」
「…………」
レイチェルは何も言わなかった。
そして、王の前から消えた。
今までの旅はレイチェルにとって確実に変化をもたらしている……そう考えると複雑な心境になったのであった。