コロシアムに向かう途中、レイチェルは終始無言だった。
そんなレイチェルを後目にクレオはルンドに話しかけまくりルンドは板挟みの様にそわそわと落ち着かない様に後ろのレイチェル、前のクレオを見やっていた。
それから険悪な雰囲気の中、コロシアムに着くとクレオはさっさと控え室に向かってしまい。ルンドは氷の眼差しを向けるレイチェルと二人きりになってしまい。
普段の緊張とは一肌も……二肌も違う緊張に見舞われていた。
「レ……レイチェル様……そろそろ座席へ向かいましょうか?」
たらたらと冷や汗をかきながらルンドが話し掛けるとレイチェルは天使の様な笑顔で答えた。
「そうですわね〜ルンドのお知り合いの方の試合を見ないわけにはいきませんものねぇ〜……」
最後の沈黙が怖い!! などと思いつつ、ルンドはレイチェルと目を合わせないようにしながらまもなく行なわれるクレオの試合会場へと向かったのだった。
=選手控え室=
「そーいえば……レイチェル様ってルンドとどういう関係なのかしら? けど、いくらなんでもルンドが年下好みなわけないしね〜。まっ! いっか」
「クレオさーん! 出番ですよー!」
「はーいはーい!」
そして、クレオは見たのだった。
自分に向けられるきつい眼差しを……
それは勿論レイチェルの視線だったのだがさっき会った人とは別人の様に厳しく冷酷な顔つきだったのを覚えている。
「あ……アレって……レイチェル様よ……ね?」
ルンドが何か会話を……と思いレイチェルにクレオとの出会いの話などをし始めるのとクレオの試合が始ったのは同じ頃だった。
「――――――で、そういったわけなんですよ」
「そう。わかったわ。クレオさんはルンドの……」
「レ……レイチェル様!?」
いつになく寂しそうに呟いたレイチェルにルンドは少し驚いてレイチェルの深いブルーの瞳を覗いてしまった……。
「――キルト・アウト」
小さく呟いたのはレイチェル、その呟きはルンドを硬直させた。
ルンドはこのクレオの試合が終わるまでこの席を動けない魔法をかけられたのだった。
「レ……レイチェル様……なんで……」
「私、先に帰らせていただきますわね。ルンドはクレオさんの試合をぞうぞ最後まで見ててくださいね」
先程と同じ様にレイチェルは天使の微笑みをルンドに向ける。
それは勿論、彼女の内なる怒りがそうさせるのであったからだ。
「……アラ? あれは……」
レイチェルはコロシアムから自分の宿に戻ろうとした時、違う宿屋に入っていくアルフェリアの姿を見た。
「アルフェリアさんですわよね?」
しかし、そんなレイチェルには気付かないかのようにアルフェリアは宿に入っていってしまったのだった。