ファンタジア

在村楽7

 太陽が昇り、朝がやってきた。
 昨日の喧騒が嘘のように、町全体が静まりかえっていた。
 酒場町の朝は夜の長さに反比例して遅いものだ。
 ……が、パブ・ガイアの朝は早かった。

「ほら、そこの二人! 仕事だよ!」
 一気に目が覚めた。
 女主人の良く響く大声を聞いて、デントも飛び起きた。
「何事だ! ここは一体どこなんだ……?」
 そう言うと、呆れたように自分を見つめる女主人と楽を交互に見やる。
 簡単に昨日の出来事を説明すると、少しずつ思い出してきたようで、デントの顔色がだんだん青ざめてくるのが分かった。

 朝の最初の仕事は店の掃除だった。
 メチャメチャになったテーブルや椅子を元のように並べ、店中を掃き、窓を磨いた。
 そして朝食の支度の手伝いだ。
「なんでこんなことに……」
 デントはぶつくさと文句を言いながら肉を焼いている。
 その後ろで楽はテーブルに皿を並べ始めた。
 一枚一枚が非常に高価なもので、フォークやナイフが銀製だったのに驚いた。
 ただのパブだと思っていたが、どうやらちょっと違うらしい。
「ほらデント! 肉をこがすでないよ!」
 いきなり女主人の声がかかったので、デントは肉を落としそうになった。
 デントの焼く肉を見ると、うっすらとこげ目が付き始めている。
 こちらからは姿が見えないのに、女主人はどうして自分達を見ることができるのだろう。
「はぁ……俺ってついてないなぁ……。船は座礁するし……何が悲しくってこんな所で肉を焼いてなきゃならないんだ……」
 デントがまた愚痴をこぼし始めた頃、女主人が調理場にやってきて調理場の様子を満足そうに眺めると、
「よし、朝食の支度はこれまでだ。二人ともカウンターまで来ておくれ」
 と一声かけ、また出て行った。
 どこかからこちらを見ていない限り取れないようなタイミングだ。
「はぃはぃ、お次の仕事はなんでしょーかっ!」
 半ばムキになりながらもデントは楽と共にカウンターへ向かった。

 バーカウンターは昨日と違ってひっそりと静まりかえっていたが、女主人だけは昨日と同じようにカウンターの向こうに立っていた。
「来たね。ここに座りな。次の仕事の説明をするよ!」
 デントと違い、こちらはご機嫌なハイテンションだ。
「次の仕事は……まぁ簡単にいえば宝探しだね」

 ……どうやら本当に大変な仕事はここからのようだ……。

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