太陽が昇り、朝がやってきた。
昨日の喧騒が嘘のように、町全体が静まりかえっていた。
酒場町の朝は夜の長さに反比例して遅いものだ。
……が、パブ・ガイアの朝は早かった。
「ほら、そこの二人! 仕事だよ!」
一気に目が覚めた。
女主人の良く響く大声を聞いて、デントも飛び起きた。
「何事だ! ここは一体どこなんだ……?」
そう言うと、呆れたように自分を見つめる女主人と楽を交互に見やる。
簡単に昨日の出来事を説明すると、少しずつ思い出してきたようで、デントの顔色がだんだん青ざめてくるのが分かった。
朝の最初の仕事は店の掃除だった。
メチャメチャになったテーブルや椅子を元のように並べ、店中を掃き、窓を磨いた。
そして朝食の支度の手伝いだ。
「なんでこんなことに……」
デントはぶつくさと文句を言いながら肉を焼いている。
その後ろで楽はテーブルに皿を並べ始めた。
一枚一枚が非常に高価なもので、フォークやナイフが銀製だったのに驚いた。
ただのパブだと思っていたが、どうやらちょっと違うらしい。
「ほらデント! 肉をこがすでないよ!」
いきなり女主人の声がかかったので、デントは肉を落としそうになった。
デントの焼く肉を見ると、うっすらとこげ目が付き始めている。
こちらからは姿が見えないのに、女主人はどうして自分達を見ることができるのだろう。
「はぁ……俺ってついてないなぁ……。船は座礁するし……何が悲しくってこんな所で肉を焼いてなきゃならないんだ……」
デントがまた愚痴をこぼし始めた頃、女主人が調理場にやってきて調理場の様子を満足そうに眺めると、
「よし、朝食の支度はこれまでだ。二人ともカウンターまで来ておくれ」
と一声かけ、また出て行った。
どこかからこちらを見ていない限り取れないようなタイミングだ。
「はぃはぃ、お次の仕事はなんでしょーかっ!」
半ばムキになりながらもデントは楽と共にカウンターへ向かった。
バーカウンターは昨日と違ってひっそりと静まりかえっていたが、女主人だけは昨日と同じようにカウンターの向こうに立っていた。
「来たね。ここに座りな。次の仕事の説明をするよ!」
デントと違い、こちらはご機嫌なハイテンションだ。
「次の仕事は……まぁ簡単にいえば宝探しだね」
……どうやら本当に大変な仕事はここからのようだ……。