次の日、4人はストレシアの砂漠へと足を踏み入れた。
気温の上昇と強い砂嵐は楽にとって初めての経験だった。
うす茶色のマントを身につけた4人が砂漠を横断してゆく。
先頭に立ったのはザブル。
行き先を知るのは彼女一人だからである。
ジュウマ、デント、楽がその後ろに続く。
何事もなく砂漠の旅は進み、日暮れまで4人は歩き続けた。
そして、夜。
ジュウマがテントを張り始めた。
砂漠の夜は寒い。
昼間の暑さとは対照的に、ググッと気温が下がるのである。
それに加えて、今日は風が強かった。
砂混じりの風が一行を吹き付ける。
そんなわけで、寝るためにはテントが不可欠なのであった。
ジュウマはデントの協力もあって、やっとのことで2つのテントを完成させることが出来た。
楽は手伝えない。
テントなど組み立てたこともないのだ。
見ていることしかできない自分がもどかしかった。
楽にはまだ、旅の経験が足りないのである。
デントと旅を始めて、野宿も初めて経験した。
その土地による気候の違い、自然の違い、生き方の違いが旅をすることによって初めてわかる。
楽は両親を捜すためにテーヴァを出たが、それをきっかけに一回り大きくなれるような気がしていた。
ファイアフェアリーがテントの周りを温めて去っていった時、それを待っていたかのようにザブルが口を開いた。
「明日の朝は早くに出発してストレシア城まで向かいます。
歩き通しだったので今日は疲れたでしょう。ゆっくり休んで下さい」
行き先はストレシア城だったのか……いや、その先かもしれない。
修行者3人は最終目的地を知りたかったが、ザブルがテントに向かってしまったのであきらめることにした。
そのうちわかるだろう。
小さなテントにはザブルが、そして、大きめのテントにはジュウマ、デント、楽の3人が入った。
ザブルの言うように、明日は早い。
3人は横になるとすぐ眠りについた。
砂漠にいても森にいても、月は分け隔てなくその光を地上にふりまく。
蒼月の今、空に浮かぶその月はほのかに青みを帯びている。
暦によって月の色は変化するのだ。
ウェストルにいた頃、まだ月は赤かった。
そして今は青だ。
あと何日か経つと碧月に入り、月も緑色に変わる。
遠く離れたアカデミーではその原理を研究する学者もいるそうだ。
しかし、どれだけ研究が進もうとも未だ、月の謎は解かれない。
永遠の謎、とも言われている。
深夜、その青白い月が厚い雲に覆われた。
その時だった。
ザブルのテントからものすごい爆音が聞こえた。
その爆音で一斉に目を覚ました3人。
慌てて外に飛び出す。
そして、3人は見た。
ザブルのテントが跡形もなく消えているのを、全身黒ずくめの男がザブルを抱えているのを……。