ファンタジア

在村楽39

 次の日、4人はストレシアの砂漠へと足を踏み入れた。
 気温の上昇と強い砂嵐は楽にとって初めての経験だった。
 うす茶色のマントを身につけた4人が砂漠を横断してゆく。
 先頭に立ったのはザブル。
 行き先を知るのは彼女一人だからである。
 ジュウマ、デント、楽がその後ろに続く。
 何事もなく砂漠の旅は進み、日暮れまで4人は歩き続けた。

 そして、夜。
 ジュウマがテントを張り始めた。
 砂漠の夜は寒い。
 昼間の暑さとは対照的に、ググッと気温が下がるのである。
 それに加えて、今日は風が強かった。
 砂混じりの風が一行を吹き付ける。
 そんなわけで、寝るためにはテントが不可欠なのであった。
 ジュウマはデントの協力もあって、やっとのことで2つのテントを完成させることが出来た。
 楽は手伝えない。
 テントなど組み立てたこともないのだ。
 見ていることしかできない自分がもどかしかった。

 楽にはまだ、旅の経験が足りないのである。
 デントと旅を始めて、野宿も初めて経験した。
 その土地による気候の違い、自然の違い、生き方の違いが旅をすることによって初めてわかる。
 楽は両親を捜すためにテーヴァを出たが、それをきっかけに一回り大きくなれるような気がしていた。

 ファイアフェアリーがテントの周りを温めて去っていった時、それを待っていたかのようにザブルが口を開いた。
「明日の朝は早くに出発してストレシア城まで向かいます。
 歩き通しだったので今日は疲れたでしょう。ゆっくり休んで下さい」
 行き先はストレシア城だったのか……いや、その先かもしれない。
 修行者3人は最終目的地を知りたかったが、ザブルがテントに向かってしまったのであきらめることにした。
 そのうちわかるだろう。

 小さなテントにはザブルが、そして、大きめのテントにはジュウマ、デント、楽の3人が入った。
 ザブルの言うように、明日は早い。
 3人は横になるとすぐ眠りについた。

 砂漠にいても森にいても、月は分け隔てなくその光を地上にふりまく。
 蒼月の今、空に浮かぶその月はほのかに青みを帯びている。
 暦によって月の色は変化するのだ。
 ウェストルにいた頃、まだ月は赤かった。
 そして今は青だ。
 あと何日か経つと碧月に入り、月も緑色に変わる。
 遠く離れたアカデミーではその原理を研究する学者もいるそうだ。
 しかし、どれだけ研究が進もうとも未だ、月の謎は解かれない。
 永遠の謎、とも言われている。

 深夜、その青白い月が厚い雲に覆われた。

 その時だった。

 ザブルのテントからものすごい爆音が聞こえた。
 その爆音で一斉に目を覚ました3人。
 慌てて外に飛び出す。
 そして、3人は見た。
 ザブルのテントが跡形もなく消えているのを、全身黒ずくめの男がザブルを抱えているのを……。

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