ファンタジア

リーザ8

「ううう〜、つまんない〜」
 とうとうリーザが音をあげた。楽は苦笑いしながらこう言った。
「何か楽しいことでもあると思いますか?」「…………」
 少し間をおいてリーザが言った。
「だって、遺跡っていうとさぁ、こう、何だかとってもレア〜なアイテムとかあったり……するじゃない、本とかだと。
 にしても、私思ったんだけど、ここってやけにヘビ好きよねぇ」
 確かに楽も気づいてはいた。何もないような回廊でも、よくよく周りを見ると壁には壁画や、分かれ道には小さな石像が置いてあったのだ。
 そしてそれに共通する事は、全てにヘビがかかわっている点だった。
「きっとさぁ、ヘビが大好きだったのよ、ココの人たち! ヘビを食料にしたりバッグにしたり! でも私、そんな鞄いらないなぁ。で、あんまりにも役に立つもんだから、石像にしてヘビが寄りつくようにしたのよ。仲間だと思わせて、ね」
 聞いて楽はぷっと吹き出してしまった。面白い娘だ。楽は言った。
「アナタの考えはとても面白いけど、違うんじゃないですか?」
「そうかな〜? 私は「リーザちゃん説」合ってると思うけど……」

 歩いているうちに、また分かれ道を見つけた。
 しかし、二人はそれがおかしいことに気づいていた。また2つの分かれ道だったし、そこは見覚えのある風景だったからだ。
「……戻ってるわよね」リーザが言った。「ええ」楽が言葉少なにあいづちを入れてから立ち止まった。「……入り口付近です」
「やっぱりヘビに何か秘密があるのでしょう」楽はそう言って少し考え込んだ。
 リーザはと言うと、熱心に壁の壁画と石像を見比べている。「何か?」
「えっ? ううん、分かんないけど……。何かこの辺に秘密とかありそうな……」
 楽は壁画をじっと見つめた。そこの壁画には、ヘビを炎で追い払っている人々が描かれていた。「炎……?」楽はハッとして、分かれ道の右に道を走りだした。
「えっ? ええ? ら、楽ちゃんってばどーしたのっ!!?」
 慌ててリーザとシェプシも走り出した。

 2つ目の分かれ道。(3つに分かれているところ)
 今度は壁画に風でヘビを切り刻んでいる魔術師の絵だった。

 3つ目。あの不可解な文字が描かれていた所。
 壁画には天使が聖なる光をヘビの目に当てている絵だった。

 そして初めの場所。楽は目が覚めた思いだった。
「分かりましたよ! リーザさん!」「うそ〜!?」
「やっぱりヒントは壁画と石像なんです! 例えばここ。壁画の人々は炎を使っていますよね。だから……」
 楽は、たいまつの炎をヘビの石像に当てた。すると……。
 ヘビの目が赤く染まったかと思うと、遠くで扉の動く音が聞こえた。
 そして……目の前の分かれ道の右の扉が閉まっていく。
「楽ちゃん! 右の方、閉まっていくわよ!」リーザが言った。
「これでいいんですよ。拙者はさっき左の方も覗きましたが、行き止まりでした。
 右が使えなくなる変わりに、左に進めるようになるんですよ!」
「ひゃあ〜! すっご〜いっ♪ これぞダンジョンって感じね!! うんうん、やっぱりこーゆートコはいいわぁ〜♪♪」
 楽は、このどこかズレている娘が心底計り知れなかった。一体どういう感覚なのだろう……。

 2人は左へと進んでいった。(もちろんシェプシも)
 左の道は、それまでとはうってかわって、ネズミの死骸などがゴロゴロしていた。
 きっと扉が閉まってしまったので、外に出ることが出来なかったのだろう。
 さすがのリーザも恐くなったのか?と楽は思った。
「こういうとこって死者の魂とか彷徨ってるのよね……」
 確かに怖がってはいたが、ネズミの死骸は眼中にないようだった。
 楽はいろんな意味でため息をついた。

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