アスリースの森の中にある辺境の村・ラシュ。
そこが、リーザの住んでいる村の名前だった。
ラシュ村には種族はエルフとフェアリーしかいない。
なぜなら、彼らは争いが嫌いだからだ。
そしてこの地はアスリースの果てしなく西の方にある村だったため外からくる連中が少なかったともいえる。
リーザはストレートな茶色の髪を揺らしながら歩いていた。
傍らには犬のシェプシもついてきている。
向かう先は彼女がまだ小さいときに見つけた湖だった。
ずっと昔にその場所を見つけてから、そこは彼女の秘密の場所となっていた。
そしてそこに向かうのには時間つぶしともう一つ理由があった。
一族の族長・ルウは、治らぬ病(やまい)に侵されていたからだった。
村にいるフェアリーの娘の一人が、清純な湖に咲くある花は、どんな病気も直せる万能薬になるらしいと彼女に教えた。とはいえリーザはそんな花を見たことなど無かったのでとりあえず咲いているものを全部少しだけ摘んでいるのだった。
しばらく時間をつぶし、花集めをしたあと、リーザは村に戻る事にした。
護衛に見つからないようコッソリ戻ってきた(本人はそのつもりだった)リーザだが、一番見つかりたくないと思っていた人に見つかってしまった。
「お嬢さんお嬢さん、何をしとるのかね?」
突然後ろから声をかけられた上、すごい力でその人物はリーザの肩をつかんできたのでリーザは小さく悲鳴をあげた。
「……おじーちゃんっ! いい年して悪ふざけはやめてよ〜!!」
「たわけ娘が! お前はそれで隠れているつもりだったのか!? しかもいい年とは何じゃ! わしゃ〜、まだ158じゃわい!」
「……十分いい年じゃん。とにかく〜、肩離してよー!」
ルウは年寄りとは思えぬ力でつかんでいた手を離し、「ちょっとこっち来い」と言ってリーザを自分のテントに連れていった。
「今日のお説教メニューは何? 村の女の子と泥遊びしたこと??」
「お、お前と言う奴はっ! またそんな事をしとったのか〜!!?」
「ゲッ。ち、違うの? じゃあ……今日の昼ご飯にシェプシの毛を入れちゃった事でしょう?」
ルウが何だと!?と言う顔をして、しきりに何か吐き出そうとしているのを見てリーザはこれも違うらしいことを悟った。