ファンタジア

リーザ1

「リーザ様っ!? リ〜ザ〜さ〜まぁ〜!!?」
 どやどやという音とともに、目の前を数人のエルフの男達が走っていく。
 砂ぼこりがもうもうと立ち、足音が小さくなっていった。
 くすくす……。草の影から、ついに耐えきれなくなってリーザは笑いだしてしまった。(と言っても大声で笑ったわけでは無いが)
「それにしても、今度は何なのかな?」
 思い当たることはいくつもある。
 一族の族長であるおじいさまのイスに、毛皮と称してスカンクの一種を置いておいた事かしら? いや、それより村のエルフやフェアリーの娘達と泥にまみれて遊んじゃった事かも。あ、もしかしておじいさまの食事に犬の毛をいれちゃったからかな……。
 いずれにしろ、捕まったら怒られるに違いない。
「まぁ、いいか。」
(本当は全然良くないのだが)リーザは立ち上がり、ローブに付いた土や草を手で払った。もう彼女を追いかけて来た男達は、遙か彼方の、見当違いな場所を探しているに違いない。
 そしてリーザは、小さく鋭く指を鳴らした。すると、向かい側の草陰から白い大きなモノが飛び出し、こちらに向かって来た。
「シェプシ!」
 シェプシは大きな犬だ。ブラックシリオンとレザーハウンドというオオカミの一種の混血種である。
 長くて白い毛は、リーザが毎日ブラッシングをしている効果だった。
 澄んだ青い目は優しげな光をたたえている。
 リーザとシェプシは連れだって歩き出した。森の奥に向かって。

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