「このままでは大変です!! 動かないでおさまるのを待ちましょう!!」
「わ…分かってるけど…立ってられない!!」
ものすごい砂嵐のなか、ヘスティアは叫んだ。
もう隣にいるはずの楽の姿も見えない。
「それより…エルファ君とシェーナが!」
「ええ…おそらくもう近くにはいないかもしれません!!」
楽の声もだんだん聞こえなくなってきた。
まだ風が強くなっているという事だろうか。
「それより…私、もうやばいっ!!」
ヘスティアはすでに吹き飛ばされる寸前で、先程からかなり無理をして踏ん張っている状態だ。
「ヘスティアさん、がんばってください!!」
楽は何とか立っていられたが、この風は簡単にはおさまりそうにない。
いつかは自分も立っていられなくなるだろう。
しかし、みんながバラバラになってしまう事は防ぎたかった。
この砂漠の中、再会するのは至難の業だ。
「っていうか何をがんばればいいのよ…っきゃああっ!?」
ついにヘスティアが風に足をとられ、吹き飛ばされた。
そのまま砂嵐にのってしまったようで宙に舞った。
「ヘスティアさんっ!!」
楽が何か叫んだが、ヘスティアにはとどいていなかった。
「―――っ!!」
目が回る。だから目を閉じたが逆効果らしく、ものすごい吐き気がヘスティアを襲う。
意識を保っていられるのも今のうちだろう。
だが無意識に両腕の腕輪を手でおさえた。
これだけは離すわけにいかない。
ヘスティアはこの時初めて自分の体重を恨んだ。
周囲のひとには羨ましがられたのに。
そこで限界がきたらしく、ヘスティアの意識は闇に落ちた―――