「ふんふんふんふん♪ ……気持ちいいね! シェーナ!」
エルファとシェーナは、静かに流れ始めた風に乗り飛んでいた。
エルファの手にはもちろんノートとペン。
シェーナはエルファの問いに、答えず、空を見上げた。
「? どうしたの、シェーナ?」
シェーナは何かを言いたそうな顔で、飛んでいるエルファの頭に乗った。
エルファは、「あ!」と、何かを思いついたようにノートにペンを走らせた。
そして、にこっと顔をほころばせた。
「やった! いいフレーズ思い浮かんだ!」
その時、
「わぁっ」
強く吹いた風が、悪戯にもエルファの帽子を飛ばしていった。
エルファは呆然と帽子を失った頭を触った。
頭の上に乗っていたシェーナは帽子が飛ばされる前に、肩に飛び移っていた。
「ずるいなシェーナ。……とにかく帽子追わなきゃ」
疲れ始めた羽根を勢い良くはばたかせ、帽子が飛び去っていった方向に向かった。
しかし、後ろから吹きつけた強烈な砂嵐がエルファの羽根を直撃した。
「うわぁっ! シェーナ!!」
地面に向かって落ちていくエルファを追ってきたシェーナを、エルファは抱きしめた。
「うっ! ……………」
背中が地面に勢い良くぶつかる。
エルファはそのまま気を失った。
シェーナも、この砂嵐の中、むやみに飛び回れないので、気を失ったエルファの腕の中で大人しく目をつぶった。
一方楽とヘスティアの方
「ヘスティアさん!!」
今にも飛ばされそうなヘスティアに声を掛ける。
しかし時すでに遅し。
楽が叫んだときにはヘスティアはもう飛ばされていた。
勢い良く吹きつける砂嵐の中で、楽は目をつぶった。
(…………とにかくここから離れてはいけない…………)
風が強くなってきた。
この砂嵐の中。
いくら楽でも出来ることは無かった。
ただ風が治まるまでじっと待つだけ。
むやみに他の人達を捜しても、自分が迷子になるだけだ。
離ればなれになった三人(+一羽)をあざ笑うように風はいっそう強くなるばかりだった。