ファンタジア

エルファ18

「ふんふんふんふん♪ ……気持ちいいね! シェーナ!」
 エルファとシェーナは、静かに流れ始めた風に乗り飛んでいた。
 エルファの手にはもちろんノートとペン。
 シェーナはエルファの問いに、答えず、空を見上げた。
「? どうしたの、シェーナ?」
 シェーナは何かを言いたそうな顔で、飛んでいるエルファの頭に乗った。
 エルファは、「あ!」と、何かを思いついたようにノートにペンを走らせた。
 そして、にこっと顔をほころばせた。
「やった! いいフレーズ思い浮かんだ!」
 その時、
「わぁっ」
 強く吹いた風が、悪戯にもエルファの帽子を飛ばしていった。
 エルファは呆然と帽子を失った頭を触った。
 頭の上に乗っていたシェーナは帽子が飛ばされる前に、肩に飛び移っていた。
「ずるいなシェーナ。……とにかく帽子追わなきゃ」
 疲れ始めた羽根を勢い良くはばたかせ、帽子が飛び去っていった方向に向かった。
 しかし、後ろから吹きつけた強烈な砂嵐がエルファの羽根を直撃した。
「うわぁっ! シェーナ!!」
 地面に向かって落ちていくエルファを追ってきたシェーナを、エルファは抱きしめた。
「うっ! ……………」
 背中が地面に勢い良くぶつかる。
 エルファはそのまま気を失った。
 シェーナも、この砂嵐の中、むやみに飛び回れないので、気を失ったエルファの腕の中で大人しく目をつぶった。

 一方楽とヘスティアの方
「ヘスティアさん!!」
 今にも飛ばされそうなヘスティアに声を掛ける。
 しかし時すでに遅し。
 楽が叫んだときにはヘスティアはもう飛ばされていた。
 勢い良く吹きつける砂嵐の中で、楽は目をつぶった。
(…………とにかくここから離れてはいけない…………)
 風が強くなってきた。
 この砂嵐の中。
 いくら楽でも出来ることは無かった。
 ただ風が治まるまでじっと待つだけ。
 むやみに他の人達を捜しても、自分が迷子になるだけだ。

 離ればなれになった三人(+一羽)をあざ笑うように風はいっそう強くなるばかりだった。

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