「一緒に?」
きょとんとした顔でヘスティアはエルファに聞き返した。
「…」
少し考えた後、笑顔でかえす。
「いいよ。やっぱり旅は大人数の方が楽しいもんね」
「本当!? じゃあ改めて、僕はエルファ・フィスト。よろしく」
そんなに喜ばれるとは思わなかったわよ…とか思いながらヘスティアは苦笑する。
「で、こっちが楽」
エルファが楽の方を向いて言った。
「こっちってなんですか…楽です。以後よろし…」
楽が言い終わらないうちにエルファがシェーナに手をのばす。
「この鳥…シェーナってしっぽが長いんだな…つっつくなってば」
「…」
「…」
妙な沈黙が流れた。
エルファがシェーナの長い尾に触れるとシェーナはエルファの頭にとまった。
「わあっ」
「気に入られたみたいね。さ、そろそろ寝ましょう」
先程の事もあり、今度はエルファがテントの中で一足先に眠る事にした。
楽とヘスティアは外で火を炊いた。
「あの鳥…拙者の母国で見たことがあります。確かキリュアガグ…とにかく発音しにくい名前でした」
「キリアガライトスっていう種類の鳥よ。草色で尾が体よりも長いの。で、知能が高い」
ぱちぱちと火の粉が飛んでいる。
「母国って何処なの?」
「拙者はテーヴァ出身です…」
言葉を区切った後、楽はどこか寂しそうな表情をしたが、ヘスティアにはよく分からなかった。
だから気にせず喋った。
「私は…ここ。ストレシアよ。アスリースに近いユーラストルって町の傍…」
今度はヘスティアが苦い顔をした。
「…まぁ、人生色々あるよね」
テントの中ではエルファがごろりと転がっていた。
「…さっきはびっくりしたなあ」
褐色の肌の男達。
あのまま連れ去られていたら自分はどうなっていたんだろう。
どこか他の国へ売られていたのだろうか。
最近は人買いという仕事はなくなったが、ストレシアでは何があるか分かったものではない。
そうしたら自分が有翼人という事がばれ―――
そこまで考え、エルファは身震いをした。
「もう寝よう」
呟き、一緒にテントに入ってきて床に下りているシェーナの長い尾に触れる。
なんとなく気に入ってしまったのだ。
「翼…」
視点をシェーナのたたまれている翼に移す。
「僕と同じ…翼」
こうして、意外な乱入者の加わった長い夜は閉じた。