「ヘスティアさん!」
「な……なによ」
朝。
楽はまだ眠っている。
テントの外で、エルファはヘスティアに向かって言った。
「あの……さ」
「だから何?! 改まって!」
「僕。一応……、いや本当は、「有翼人」なんだ」
「へっ?」
ヘスティアは一瞬キョトンとしたが、「ああ、ああ」と何度もうなずいた。エルファは、「驚かないの?」と呟いた。
「いや、別に。私はそういうヤツを売って金儲けする職業してないし。あんまり人種にこだわらないし。何より心が広いから」
ヘスティアはニコッと笑い、エルファの頭にとまっているシェーナを見る。
「えらく気に入ってるね。シェーナ」
エルファは、朝起きたときにすでに起きていたヘスティアにシェーナの事を聞いた。
(確か……き……キリアガラ……あれ? 何だっけ)
一生懸命思い出そうと頭をひねったが、少し経った後、諦めた。
エルファはシェーナの長い尻尾が気に入っていた。
尻尾の先っちょで触れられるとくすぐったい。
「ヘスティアさん、エルファさん。起きていたのですか」
二人が、他愛もない話を続けていると、テントから楽が出てきた。
「あっ楽」
エルファは楽を見上げ、片手で自分の左横を指した。
ここに座れ。という意味だ。
楽は別に断る理由もないので、そこに座る。
「あのさっ。僕『闇市』ってまだ良く理解してないんだよね。『闇市』って結局何?」
エルファは、自分の隣りに座る楽とヘスティアに聞いた。
ヘスティアと楽は顔を見合わせて唖然とする。
「あれ? 知らないの? エルファ君」
「あ……ああ……『君』付けはちょっとやめてほしいなぁ。まぁとにかく知らないんだ」
「仕方ない。教えてあげる。闇市ってのはね……」