淡い月の光が、部屋の小さな窓から部屋の中に射し込む。
エルファは窓を挟んだ月をぼんやりと見つめ考えた。
(僕はずっと仲間がほしかった。楽はいい人っぽいし、一緒に旅してみたい。……けど)
「けど羽根がなぁ」
バフッとベットに伏せ、すっかり色あせた天井を見上げた。
真新しいシーツに身体が沈んでいく。
考えなければいけないことが沢山あった。
「ガロンって誰だったっけ? 聞いたことある。うんある。絶対あるよ! …………でも、思い出せないぃ」
天井に何か得体の知れない小さな生き物がテケテケと歩いていた。
近くにあったガラスの破片を手に持ちその生き物に向けて投げた。
「やーい命中ー」
ふぅ。と一息つくと急に眠気が襲ってきた。
素直に目を閉じる。
何分もしない内に安らかな寝息が聞こえてきた。
次の日。
エルファが昨日の酒屋の前に行くと、やはり楽が待っていた。
「エルファさん。来てくれたのですか」
「えぇっと、そのなんて言うか…………僕は何も知りませんが。お役に立てたらと」
金色の髪の毛を指でもてあそびながら、呟く。
顔を上げるとそこにはニッコリと笑った顔の楽がいた。
エルファもははぁ、と苦笑し
(う〜ん、付き合いにくな、この人。いい人なんだけど)
と思った。
酒屋にも客がちらほら見え始め、扉の前にいるエルファと楽を邪魔そうな目で見る人が何人かいた。
「そろそろ行きましょうか。歩くの慣れています?」
「あ、うん。砂漠とかいっぱい歩くし」
「そうですか、それなら大丈夫ですね」
灰色の道をゆっくりと歩き始める。
やがて立ち並ぶ宿や酒屋は無くなり、薄い土色の広がる砂漠に出た。
しばしの沈黙の後、エルファが口を開いた。
「楽、あの、『ガロン』って人のことなんですけど、僕絶対に聞いたことあります名前」
「!」
自分を期待の瞳で見つめる楽の瞳をさけ、ハァと息をつく。
「ごめんなさい。思い出せないんです」
ガクンと肩を落とす楽を見て、エルファは咄嗟に言う。
「あ、でも! ……絶対に思い出して見せますから!」
「うん。ありがとう」
道は無く、ただ広がる砂漠を楽は一足もためらう事なく進んでいた。
エルファはただ着いていくことしか出来なかった。
また、沈黙が続いた。