ファンタジア

エルファ4

「誰?」
(うわ。やば)
 あたふたと辺りを見回すが、隠れるところなんて…………
(あったっ!)
 階段の後ろに扉があった。
 音を出さないように静かにその中に入る。
「…………」
 中は薄暗くて、誇りっぽかった。
 物置らしい。
 エルファは大きな箱の裏に隠れると、おばさんに見つからないことを祈った。
(お願いぃ!)

「あれ? どこかしら? まぁ良いわ」
 やがて、おばさんの気配が消え、エルファはホッと息をついた。
 箱に寄り掛かり、うつむく。
(どうせ……。有翼人だもんな……)
「っ……!」
 哀しみがどんどん押し寄せてきて、涙が込み上げる。
(泣きたい……。誰か……)
 込み上げてくる涙を瞳に溜め、立ち上がり廊下に出る。
 静かに階段を上がり、自分の部屋に入った。
 荷物をまとめ、部屋を出ようとしたとき、階段を上がってくる足音が聞こえた。
 足音はエルファの部屋に近づいていた。
(やべ)
 部屋の中にあるのは窓一つ。
 と言ってもここは二階。
 この宿の二階は結構高くて、普通の宿の三階くらいの高さがあった。
(ん〜〜〜〜〜〜〜〜……。もういい!)
 窓をガラッと開け、飛び出す。
 羽根を使おうとマントを取るが……。
「うわぁ!」
 羽根は羽ばたかず、エルファは派手に落ちる。
「……! ず〜っと使ってなかったからにぶっちゃったかな? ……っていうか落ち着いてる暇ないよぉっ!」
 ちょっとよろめきながらも全力疾走する。
 後ろを振り返ると、おじさんが同じく疾走してくる。
 前を向き直ってまた走る。
 走る。

「はぁぁぁぁぁぁ!」
 息をつき、振り返るがもう追ってくる姿は無い。
 息をついたのも束の間、手に持った袋を開けて気づく。
「……財布忘れた」
 ため息をついた後、いいことを思いついた。
「……仕事……するか……」
 ゆっくりと歩き出して、人のいる場所を目指した。
 砂漠とオアシスの境目らへんに人が集まっている場所を見つけた。
 どっこいしょ。と石の上に座り込み、手を叩く。
 一斉に人がエルファを注目する。
 それを確認すると、エルファは息を吸い込み、歌い出した。
 歌詞のない、ただ音楽を紡ぐだけの唄。
 それが逆に人々の注目を引いた。
 彼の周りに、野次馬達が集まり始めた。

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