次の日の朝。
エルファは、夜いなかったヘスティアが隣でスヤスヤと寝息をたてているのを見た。
ヘスティアの枕元には草色のシェーナがこちらをじっと見ていた。
「シェーナ、おいで」
楽とヘスティアを起こさないように静かにシェーナを呼んだ。
シェーナは、ヘスティアの頭の上をぱさぱさっ。と飛んで、エルファの肩にのった。
エルファはゆっくりと立ち上がるとテントの外に出た。
「ねぇシェーナ。飛ぶのって気持ちいい?」
エルファの質問にシェーナは高く鳴いた。
「そう。楽しいんだ。僕もね、一応羽根があるんだ。……だけどどうして飛ばないんだろ僕」
エルファは背中についている羽根をバサバサさせた。
地面から足が少し浮いた。
シェーナはエルファの肩から離れると、空に舞い上がった。
「えぇ。そんな高く飛べないよ僕。……やってみるけど」
羽根をもっとばたつかせる。
「わぁっ」
シェーナのいる位置までエルファは浮いた。
「わぁわぁ」
エルファはテントの上まで、移動した。
「わぁ! 僕飛べたよ。シェーナ! わぁすごい! 地面から足が離れてる」
「んん……エルファ……さん?」
気持ちよく起きた楽は、隣りにエルファがいないのに気付き外に出る。
エルファはいなかった。
楽は何となく空を見上げる。
「!」
そこにはシェーナとエルファが空の上で戯れている姿があった。
楽はテントの中に戻ると、スヤスヤと寝息をたてて幸せそうに眠っているヘスティアを起こした。
「ヘスティアさん。ヘスティアさん。すごく気持ちよさそうに眠っているところ悪いんですが、ちょっと起きて下さい」
「ん? 何? 楽」
楽とヘスティアはゆっくりとテントの外に出ると、空を見上げた。
「へー、エルファ君飛べたんだ」
「あっ。楽! ヘスティア!」
下から自分を見上げる二人へ、エルファはぶんぶんと手を振った。
シェーナは降りていき、ヘスティアの肩にとまった。
「シェーナが教えてあげたんだ」
「違うわよ。私が飛んだら彼がついてきてくれたの」
「へぇ」
エルファは楽に何かを話していた。
時々笑い声も聞こえた。
三人と一羽は、テントをたたむと、オアシスを後にした。