ファンタジア

エルファ14

 楽が剣を磨き始めて十分程経った時。
 エルファは目をこすりながらムクリと起きあがって剣を一生懸命磨く楽に見入る。
「あっ。エルファさん、起きたのですか」
 楽が剣を隣に置こうと下のを見て、エルファが慌てた。
「あっ続けて下さい。僕見てますから」
「そう?」
 楽は再び剣を磨き始め、何分かが静かに流れた。
 楽は剣を手にしたまま、口を開いた。
「エルファさん。あの夢の事ですが……」
「えっ? 何か解るの?」
「いえその、ふと思いついたのですが、拙者がまだ師匠の下で修行していたときに「ブルムンクス」と名乗る行商が宝石を売りに来たのです。その時に「追跡の瞳」という宝石があったのです。それは、自分にかけられた呪いや魔法の発動者を知ることができる宝石で、何かの力を自分に送った者を黒い光で指し示す事の出来る石なんだって。……ですから、エルファさんの夢の男のことも解るかもしれないと思って」
 エルファは聞いたこともない宝石の名を頭の中で繰り返す。
 もし本当にその様な石があるのならば見たい。と思ったのだ。
 エルファはどうすればその石をみる事が出来るのかと思いを巡らせた。
「楽、そのブルムンクスっていう人がお店を持っているのならそのお店を訪ねて行けばその石を見ることが出来るかも……。その人ってどこにいるのか解る?」
 エルファが楽を見上げると、楽は磨き終わった剣を自分の隣に置き、そして答えた。
「はい。一応は教えてもらいましたけど、拙者がまだ小さいときの事ですから……」
「いいから教えてよ!」
「多分、ストレシアです。この広い砂漠国のなかで一つの店を探すのは難しいことですが、もうすぐ闇市が開催されると聞きました。きっと魔力を持った宝石を扱う店もいくつかあるでしょう」
 楽は足を前に放り出し両手を上げ、大きく伸びをした。
 エルファは「へえぇ。」と感心して再び寝転がった。
「気持ちいいね」
「そうですね」

 二人は立ち上がり、「闇市」の開催される地に向かって歩き出した。

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