こんにちは。どうも! ブレスです。前回この前説がなかったのは御存知でしょうか? なぜないの? という嬉しい限りの指摘を受けまして、またこうして皆様の前に参上しています。今ワジュールでは闇市を向かえる準備で大忙しです。ピコの花が先日満開の時期でピコの製品を売るお店では、生花が売られています。ただ、この花は貴重な花で、光にあたってしまった白いピコの花でも一束四万ラージで売られています。高い高すぎると思いますよね? けど夜の内に摘まれた青いピコの花に関してはその倍いや、3倍の相場です。まーその青いピコの花は幻のハーブティーになる原料だし…。なんて思わないと納得できないですね。だからピコの栽培場はすっごい厳重な管理がされてるんですよ。あ〜俺もピコの栽培でも始めたら借金地獄から出られるのだろうか??
(ピコは大量生産が出来ない植物でそう簡単に栽培ができないよ。<天の声>)
……諦めるか…。
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俺とパルは砂漠にいた。なんとかパルを捕まえ警備隊に行ってくれることを承諾させ、ワジュールに帰るところまできたのだが……
「サラマンドルよ! でもなんで? こんな所に! 変!」
月光の光にサラマンドルが長い影を作り、影がゆらゆらとうごめく。影が彼等を産むみたいに砂の中からサラマンドルが一匹また一匹と姿を現す。砂漠と同じ色の黄金の皮膚に真っ赤なとさかが頭のてっぺんから尻尾の先まであった。体長は大きく1m50ぐらいはあるだろう。足は短くトカゲ独特の形をし、口から炎が洩れていた。何時の間にか砂の中から姿を現し獲物を狩る態勢で威嚇をしている。のっしりのっしりとすきなく近づいてくる。さっき俺がパルを守ると宣言した手前俺がやるべきだった腰にぶら下げている師匠にもらった剣に手をかける。
けど…
「パル! 俺から離れてっ!」
鞄の中には前クロスドから手渡されたナイフが入っていたから、それをパルに渡した。
「逃げるんだ。ワジュールまでの道わかるんだろ?」
パルはナイフをしっかり胸に抱き首を横に振った。
「やだ! 一人にしないでよ! 一人でいると怖いの!」
その必死の様子にこっちが何も言えなくなる。俺がやるのか? 女の子を守ってサラマンドルを追い払うのを? 俺にそんなこと出来るか? 自信なんてとうに無くした。やるしかないだろう。自信がないからって何もしないで終わらせる訳にはいかない! 再び剣に手をかける。スラッと細い剣に月光が当たりギラリと光った。
頭の中ではヤメロ! 無駄だ! と響き合ってる。クロスドの言葉を思い出した。
『相手を見すぎるな何かアクションを起こしてから動いていたらやられる。予測するんだ』
予測するって言ったって…
『勝てない勝負はしないことだ』
だったら逃げるか? 逃げられる状況か? 尻尾巻いて逃げるか? 俺は弱い。なら何が出来る? 弱い俺が何をすることがベストだ? どうすればここから切り抜けらる? 俺の不安を感じとったのだろう一匹のサラマンドルが火玉を吐いた!
俺にピッタリくっついているパルの体といっしょに飛び退いた。砂を派手に散らして倒れた。すぐに状態を起こす。剣を握る手の平には汗が滲む。
「大丈夫かパル?」
「うん」
俺の頭の中の芯の方でジンジンとなにかシグナルがなる。“相手に隙を見せるな! 相手の目から目を離すな!”そう言ってるような気がする。汗がタラタラと流れる。俺の背中の方でさっきの火玉が小さくなりながら燃え尽き様としている。熱い。そうだ、隙を見せるな。目を離すな。そうすれば相手の隙や弱点が見えてくる。熱い。血が煮えたぎってくる。
「いいかパルここから一歩も動くな」
この極限の状態に笑みさえ出そうなほどに気分は高ぶってくる。人は極限状態では笑ったりするらしい。火事場のクソ力という言葉もある。戦いたくないと思っていたはずなのに…俺は何処へ行く? 俺の瞳はドラゴンの好戦的な瞳にギラついていた。もちろんそんなこと俺自信は気が付いてなんかいなかったし、背にかばっているパルも気がつくことなどなかった。一匹のサラマンドルに目が止まった。
一瞬目に恐れの揺らぎがあった。
俺はその一匹めがけ熱を持つ砂を踏みしめ走る。周りのサラマンドルが火玉をはくが走っている俺に当たることなどなかった。そうだこの短い足のサラマンドル達はスピードがないんだ。俺のこの足の速さでもついていけないのなら足でやってしまえばいいんじゃないか! クロスドが言った、『戦いは観察と予測とタイミング』そんな言葉が最初理解できなかったが、そうかもしれない。狙ったサラマンドルの目の前に走ってく。そのサラマンドルは火玉を作って待ち構えていた。すぐにでも吹きそうだったからジャンプして……
サラマンドルもそう予測したのか顔を上に上げ火玉を吹いた!!!
「―――――……!! ギェ――!!」
断末魔の叫び声だ。俺のではなくサラマンドルのだ。
俺はジャンプをする格好をしただけだった。フェイントをいれたのだ。火玉を俺がいるだろうと予想した空に吹いたため、決定的な隙が出来た格好になった首筋をおもいっきり横に切ったんだ。
俺が命を消してしまった。この手で。断末魔の叫び声が響く。やらなければやられる! そう思ったが、急に怖くなった。今の今まで息をしていたのに俺が命を絶った。息絶えたサラマンドルが砂となって崩れた。
「!!!??」
そこに残ったのは真っ黒な石だった。ほかのサラマンドルが一斉に火の玉を俺をめがけて吹いた。慌てて石を拾ってパルの方へ走って戻る。その火玉はサラマンドル同士に当たった。炎がサラマンドルを包み焦げ臭くなる。
「パル逃げるぞ!!!」
パルの手を引いて走り出した。炎に包まれるサラマンドルから俺達が離れ砂塵のなかに消えるころ、燃えるサラマンドルの所にヤツが現れた。砂塵に消える俺を懐かしそうにまた見つめていた。そう、俺が一度だけ船の中で会った人。ファントムだ。砂へ戻ったサラマンドルの中にやはり真っ黒な石だけが残った。その真っ黒の石を全部拾い口の中へ……―――――。美しい髪が砂が混じる風になびく。
「旦那、さっそく有力情報持ってきてくれたのかい? ……旦那??」
鉄格子が張り巡らせてあるハンターズギルドの窓口。唯一腕が通る金を受け取るところから腕を入れ職員の胸倉を掴んだ。その勢いに小さな丸淵眼鏡が吹っ飛んだ。
「金が足りないんじゃないか?? えっ?」
「な、なんのことです??」
ヒョロヒョロの体が必死にクロスドの腕から逃れようともがく。がびくともしない。
それどころか鉄格子に顔がめり込む。
「ハンター番号2644。ピコ栽培をする家族惨殺事件の有力参考人、末娘の保護の賞金だ。桁が二つぐらい違うな」
「ふ・二桁?? まさかっ!!?? そんなこと!!」
職員の口から泡がでている。
「じゃ一桁か?」
「……そ、それは!!」
「女子供だからって安く付けてくれたじゃねーか。え? 組織が絡んでるらしいじゃねーか。警護隊から依頼されてる正しい賞金はいくらだ?」
声が出ないように口をパクパクさせる職員。クロスドは少しだけ力を緩めた。
「は、八十!」
苦しそうに訴える。目が必死だった。
「八十ね……まだ安いかんじがするが警護隊が依頼主ならそこが限界だな」
クロスドは手を離す。職員はむせ返り苦しそうに息を吸う。クロスドは気にすることなくハンターズギルドを後にした。
「借金を少なくしてやったぜ。…お手並み拝見」
クロスドは人が行き交う通りに出て人ごみの中へときえた。
エンペランサとリエルは宿の一室にいた。リエルが星空を見上げるが月光の強い光に星がくすんでいた。
「エンペランサ。あと二時間もすると街の中心地の広場で騒ぎが起きる」
リエルが遠くを見つめて言った。
「えっ? 騒ぎ?」
酔いがさめ頭痛に体を丸くしていたエンペランサがムクリと顔をおこす。
「中心人物はブレスだ。あとクロスドが見える…。行こう。ブレスがもうすぐこの街に入る。私はクロスドの方に行ってみる」
エンペランサが何がなんだか解らなそうにしているがリエルを抱き部屋を後にする。
月光は相変わらず強い光で街を照らしていた。ランプがなくともなんとか歩けるほどだった。空は月のせいで星がかすんでいたが、月の脇を一筋の光が過ぎた。何かを予言するかのような流れ星ふだった。宿の窓辺には青いピコの花が月光に照らされ妖しく咲いていた。