ファンタジア

アルフェリア8

 まずはフォルクス達と逢った所まで行き、そこからさらに西へ。
 神官騎士二人とアルフェリアはストレシアの西側地方にある町に来ていた。
 あのまま普通に進んでいればこの町に来ているはずである。
 そう、普通に進んでいれば。
「とりあえず手分けして聞き込みをしよう」
 神官騎士の一人がそう提案した。
「それじゃぁ、日暮れにこの宿屋でってことで」
 神官騎士の方はアルフェリアが二人のうちのどちらかと一緒に行くかと思ったらしいが、二人の礼儀の良すぎる態度はどうも居ずらい。
 神官騎士二人も最初は少しばかり驚いたようだが、アルフェリアとて一人旅は長い。彼らもそれをわかっているのか特に何も言わなかった。

 

 早速聞きこみを開始したアルフェリアであったが、想像以上に早く手がかりが見つかった。
「あのさぁ、フォルクスって言う名前の白子知らないか?」
 そう言って聞きまわること数分の後。
 いかにもといった感じのチンピラに睨みつけられた。
「フォルクスとか言うのを探してるんだってな」
 な〜んか嫌な予感はしたがこの程度の奴ならば勝つのは容易だ。
「ああ、知ってるのか?」
「ついこの間世話になったばかりでな」
 そう言って男は自分の腕にある傷を見せた。
 軽いやけどだ。話の流れからすると多分フォルクスにやられたんだろう。
 フォルクスの知りあいらしい自分を八つ辺りの相手にするつもりなのだろう。
 はぁ〜……
 呆れたような溜息をついてからつぶやいた。
「バッカみてぇ」
 もちろんその言葉は向こうにも聞こえている。
 男はムキになって掴みかかってきたが、こんな相手剣を抜くまでも無い。柄で殴り倒して、倒れた男を見下ろす。
「で、そいつはどこに行ったんだ?」
「知らねぇよ! 俺に火の玉投げつけてどっか行っちまったんだ。行き先なんてみてねぇよ」
 敵わないと気付いた途端態度の変わった男に多少の軽蔑の眼差しを送り、アルフェリアはその場を離れた。
 いつのまにか陽は暮れかけていた。
「戻るか」
 神官騎士との約束もあったので、一度宿屋に行くことにした。
 二人はもう宿屋に来ていた。話を聞くとまた面倒なことになったらしい。
 フォルクスとレイチェルは警備員の見ている目の前で消えてしまったのだそうだ。
「移動魔法か」
 アルフェリアの言葉に神官騎士は頷いた。
「また一から探しなおしのようだな」
 騎士は落ち込んでいるようで、口調は暗かった。
 それに対してアルフェリアは明るかった。
「そうでもないって。まだフォルクスと一緒にいるみたいだからさ、レイチェルは……――」
 一瞬睨まれて言いなおす。
「ビショップ様は。白子はかなり目立つから結構簡単に見つかるんじゃないか?」
 少しばかり皮肉っぽい言い方になってしまったが、そのくらいは良いだろう。
「そうだな……」
 言われて騎士も多少気を持ちなおしたようだ。
「よし、レイチェル様の探索に当たっている全ての騎士にフォルクスという者も一緒に探すよう伝えよう」
 二人は頷いて、一人は伝令のために宿屋を出ていった。
 残った一人は……
「ノーティス君。できれば正式に君に協力を依頼したい。人相書きが出回っているとはいえ、私も実際にレイチェル様のお姿を見たことは無い。
 君は現在レイチェル様と行動しているらしいフォルクスという者とレイチェル様と、二人の顔を知っている。人相書きで見ただけではちょっとした変装だけで見逃してしまうこともあると思うんだが……」
 騎士の言う事ももっともだ。人相書きなんてものは意外とアテにならない。
 特に悩むことも無かった。どうせ暇なのだ。”正式に”ということならば多少の金も貰えるかもしれない。
「ああ、いいよ」

 

 こうして、アルフェリアはラジアハンドの騎士に協力し、レイチェル捜索の手伝いをすることになった。

 やはり白子というのは目立つものらしく、それから数日後。
 フォルクスとレイチェルらしき人物がアスリースの地方のアロサルサという町に訪れたそうだ。
 アスリースに行くのは気は進まなかったが約束してしまったからにはそれを反故にするわけにもいかない。
 妙なところで律儀なアルフェリアは、不本意ながらも五年ぶりにアスリースの地へ足を踏み入れることになったのだった。

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