当初はウェノかなにかで連絡して迎えに来てもらうつもりだった。
が、あまりそういったアイテムに縁のなかったアルフェリアはその値段を見て驚いた。
とてもじゃないが自分に買えるような金額ではない。
もともとほとんどその日暮らしと言ってもいいような生活をしていたのだ。余分な金などあるはずもなく……結局アルフェリアは自力でラジアハンドに戻ることにしたのであった。
クラリアットとラジアハンドの間には高い山が聳え立っている。
「これを歩いていくのか…………」
アルフェリアは山の入り口で大げさなほどに肩を落として溜息をついた。
そうしてしばらく考え込んだ後、人目が無いのをいいことにアルフェリアは出来るところまで飛んでいくという方法をとったのであった。
飛び始めて半日ほど。そろそろ休まないとまずいと感じたアルフェリアは一度降りることにした。
ルークと別れてからまだ一日も経っていない。
けれどアルフェリアは、ルークといた時には全く感じなかった不安が胸の奥から沸きあがってくるのを感じていた。
飛んでいたときは感じなかった恐怖だ。多分、飛んでいるときはその魔法の性質上自分の周囲に結界のような物が出来あがる。それを知っているから、不安も起こらなかったのだろう。
が、常に結界をはっておくなど無理な話だ。
木々の間に降り立ったことによって自分の見えない範囲が増えたのも原因の一つかもしれない。
とにかく、アルフェリア自身もたった今まで気付かなかったのだ。
自分の中にあった不安に。
あの刺客たちは倒した。本名でコロシアムに参加していたのがいけなかったのだ。アルフェリアの顔は知らなくても”ノーティス”という家名を知らされていた可能性は高い。
今はあの街を離れたし、しばらく大人しくしていれば大丈夫だろう。そう思った・
……はずだった。
風が流れ、木々が葉を揺らす。
たったそれだけのことなのに、アルフェリアはそのたびに酷く脅えていた。
アルフェリアは自分の魔力がずいぶん消耗していることをわかっていて、でも再度飛翔魔法の呪文を唱えた。
一分一秒でも早く街にたどり着きたかった。そうすればこの不安が消えるかもしれないと思ったから……