「さあ、どうぞ〜」
レイチェルは楽しげな笑みを浮かべてアルフェリアを中へと招き入れてくれた。
中はかなりごちゃごちゃとしているように見えたがレイチェルにはどこに何があるかすぐにわかるようで、一応彼女なりに整頓はしているらしい。
知識として何に使うものなのか知っているような道具もあったが、実際に見たのは初めてのものばかり。どんなものなのかよくわからないものもあった。
アルフェリアが物珍しげに部屋の中を見まわしていると、レイチェルは一つずつ説明してくれた。
研究することだけではなく、人に自分の研究のことを話すのも楽しいようでレイチェルの表情は明るかった。
アルフェリアとて魔法自体が嫌いなわけではなく、半分以上はランディ家の人間に対する反抗でソーサラーにはならなかっただけだ。
基本的に勉強そのものは結構好きなので、魔法の研究についての話も結構楽しんで聞いていた。
「あ、ねぇねぇ。これは?」
アルフェリアは無邪気に笑って問いかけた。レイチェルも楽しそうに答えを返してくれる。
そんな時間がしばらく続き……
レイチェルが、ふと何かに気付いたようにアルフェリアを見つめた。
アルフェリアはその視線の意味に気付かず問い返す。十五歳とは思えない、幼い表情で。
「どうしたの?」
レイチェルがその問いに答える前にアルフェリアは気付いた。
ルーク以外の人間の前では”作った”自分しか見せずにいたのに、つい本来の自分を出してしまっていたのだ。
それは昔のことを思い出していたせいかもしれないし、ここの珍しい物に気を取られすぎていたせいかもしれない。でも、一番の原因はレイチェル。……彼女が持つ雰囲気のせいだろう。
「あ……ごめんなさい、レイチェルさん。僕……もう行きます!」
俯いたまま、一方的に言うとアルフェリアは駆け出した。そこから離れるために。