「魔法の研究なんて……やったことないな……」
案内してもらった客室で、アルフェリアは苦笑した。
考えたことすらなかった。
アルフェリアにとって、魔法とは覚えさせられただけの不必要な技術なのだ。
「好きな人には楽しいんだろうな、魔法の勉強ってのも」
とりあえず……この時間からまた稽古する気もおきないし、そうすると夕食までは暇だ。
楽しそうに研究の話をしたレイチェル……。
「……今度行ってみようかな」
自分が魔法を学びたいというわけではない。でもあんな楽しそうに話されればやっぱり気になってしまう。どんなものなのだろう、と。
小さく笑って、それから部屋を出た。
今からレイチェルの研究室とやらに行くわけにもいかないが、夕食の時間まで建物探検でもしようかと思ったのだ。
その日の夜、アルフェリアの夢見はとっても悪かった。
何度眠っても悪夢に起こされてしまうのだ。
案内された時は親切で豪華な部屋にしてくれたのだからと素直に受けたが、まさかここまで影響を受けるとは思わなかった。
最上階に位置する豪華な部屋。
それはアルフェリアにとって一番辛かった頃の記憶と見事にダブってしまうのだ。
「ダメだ。寝れないや」
アルフェリアはポツリと呟くと、窓から外に出た。
普通なら怪我は免れないどころか死ぬだろう高さだが、魔法を使えばなんてことはない高さでもある。
「城の中で野宿なんてなんかマヌケかも……」
自分の弱い心を情けなく思ったが、自分でもどうにもならないのだから仕方がない。
「……はぁ……」
アルフェリアは大きく溜息をついて、その日の寝床を探し始めたのだった。