ウェン達がダイニングを出ると、メルディスは壁の前に立っていた。
手招きでウェン達を呼び寄せる。
導かれるままにメルディスに近付くと、メルディスはポケットから鍵を取り出して壁の穴に差し込んでなれた手付きでまわす。
するど壁の一部が凹み、さらに横にずらすと暗い石段があらわれた。
(下に広がってたのか……盲点)
石段を降りた先も真っ暗だった。
そう思っている内にメルディスは石段をおり、暗闇に消えてまたウェンたちの名をよんだ。
窓のない部屋。
入り口からの明かりだけでは中は見渡せない。
「これが僕の今回の目玉商品、『天使』だよ」
奥からメルディスの声が届く。
そして明かりがついた。
一番最初に眼に映ったのはスイッチの前に立つメルディスだった。
彼が指でなにかを指し示す。
「―――!」
まるで鳥かごのような檻があった。
そしてその中に入れられた『もの』は、ウェンより少し年下に見える美しい少女だった。
大きく波をうつ金髪に、透き通る様な碧色の瞳。
純白の服を纏い、背には真っ白な翼を生やして、腕には銀色の枷をはめられて……。
「数年前に拾ったんだ。綺麗だろう?
僕の宝物だった『人形』」
メルディスは楽しそうに話した。
宝物を友達に見せるときのように、少女をまるで物として喋る。
「これが商品……?」
……この少女が……?
「そうだよ」
「メル様、ちょっと……」
上からハイラヴァが呼ぶ。
「ああ、わかった。
……ちょっと上に行ってくるよ。
君はまだここで見ていてもいいよ。
鍵はサダインがもってるから、飽きたらあがっておいで」
そう言い残してメルディスは石段をあがっていった。