「来たか」
「参上いたしました」
「上家はどうだ」
「疑わしきはありませぬ。蒼(そう)も紅(あけ)も先頭となって動いております」
「あの二人が疑っておらんのなら懸念はないな。家長は」
「依然動きは無しでございます。放った草も――」
「無駄だな」
「その通りにあります。反応が一切消えました」
「もう放たんで良い。兵の無駄だ」
「御意」
「『道化』はどうしておる?」
「――変わらず踊っております」
「彼奴は――いや、良い。見ておれ」
「御意」
「草を放て。目標は御上と――」
「鬼退治だ」
「御意……」
「……せかしいのもう行ったか」
「そみたい」
「お前も急すぎるわい」
「いいだろ? どうせあんた一人になると何もしないんだからさ」
「失敬だの」
「事実だろ? ――いつもみたいに名前呼ばねぇのかい? あんたらしくないぞ」
「お前なんぞを呼んだ事はない」
「失敬だね。あんたも。で。なんのつもりだい? 鬼退治ってのは」
「そのままだがの」
「……あんたってオレ相手だと口数減るよなー。いや、鬼ってのはどうかと思うぞ」
「良い表現だと思っとるが」
「いいけどな、別に。出ても知らねぇぞ。鬼」
「そうはいきまいよ」
「そだがね。――あんたはどうするんだ? 行かねぇんだろ?」
「一人じゃ何もせんからの」
「何かするのかい?」
「何もせんよ。わしは」
「やっぱな」
「うるせ」