夜、青白く輝く月明かりに照らされながら、リエルは大気がピリピリしているのを感じていた。
いつにも増して何だか森がすごく静かで、どちらかといえば、気味が悪い。
まるで、嵐の前の静けさみたいな、そんな嫌な感じがした。
そして、静かなのに異様に森がざわついている気がした。
よくよく夜空を観察すると、星が在らぬ方に傾いていた。
(何か、あるのか……?)
リエルは、星を慎重に読んでいき“何か”とは一体何かを、星から読みとろうとした。
そのとき、ザッっと辺りの木々が揺らめき数人の男達が姿を現した。
いわゆる、「山賊」と言う奴らだ。
「おや、山賊か? 山賊というのは夜も出るのか?」
別段慌てた様子もなく、リエルはつぶやいた。
14歳の少女がとる反応ではない。
その反応にムッときたのか、山賊達が襲いかかってきた。
「ほう、山賊というのは、ずいぶん礼儀知らずなのだな。……なるほど。私に賞が? 死にさえしなければ、どんな傷物にしてもかまわない? ずいぶんなものだな」
襲いかかる山賊を後目に、リエルは淡々と言う。
図星を突かれたのか、男達が慌てるのがわかった。
「て、てめぇ、何者だっ!?」
襲ってきたのは自分たちにも関わらず、男達はリエルにそう問うた。
「ん? 諸君等は、私を知らないで襲ってきたのか?」
意外な問いに、リエルも少々面食らった顔になる。
自分のことを知っているからわざわざ襲ってきたと思ったのだが。
「あ、あぁ。俺等はただお偉いさんから、コイツが山に入ったら捕らえろ。死なせなければ、好きにしてかまわない、って言われただけだからな」
「何故わざわざ、“お偉いさん”の言うことを聞くのだ?」
山賊達は答えない。
しかし、リエルは気にすることなく、
「ほうほう、まだ向こうは私を生け捕りにする気でいるのだな。なるほど、貴重な情報ありがとう、諸君。では」
等と勝手に納得し飄々とその場を離れようとした。
「おい、こら待て!! まだ話は終わってねぇぞ!!」
元々話などしてないのだが、これまた慌てた男達は気づかない。
「俺等のようは済んでねぇ!!」
そして、男が言うより早くリエルは動いた。
「しつこい男は嫌われる」
一人の男にささやいて、離れる。
辺りには、数十名の男達が倒れていた。
一瞬のうちにリエルは敵をすべて倒したのだ。
「私が何者か。……あえて言うなら、あの大罪人、ユンロ・クロスの娘、リエル・クロス。私の身分はそれ以下でもそれ以上でもない。」
そっとつぶやいて、リエルはその場を後にした。