ファンタジア

リオ27

第二十七章   他人の問題 

「……アルフェリア?」
 何処を見渡してもいないアルフェリアの姿にようやく気づくリオ達。
「あ……」
 リオがブレスレットを拾い上げる。
「これ……」
 そしてそれをフォルクスに見せる。
 フォルクスはそのブレスレットをじっと眺め、怪訝な顔をする。
「……アルフェリアのだな」
「ねぇあの子……」
 アーリンが静かに口を挟む。
「?」
「……なんでもないわ」
 そう言ってアーリンはもう一度辺りを見回して、こう言った。
「とりあえず探しましょう。近くにいるかもしれないわ」
「…………」
 リオは、その場を動かなかった。
 フォルクスとアーリンがお互い見える範囲でアルフェリアを探し始める。
「アルフェリアー!!」
 その名を何度も呼ぶ。
 アーリンもフォルクスも、アルフェリアを探すのに精一杯であった。
 リオは、アルフェリアを探していない。
 少しも動かずただボ〜と立っているリオに気づいたのは、アーリンであった。
「どうしたの? リオちゃん……だっけ」
「…………」
 人見知りなリオは、アーリンと目を合わせずに横を向いた。
「気分悪い?」
「…………」
「…………」
 アーリンがリオの返事を待つ。
 リオが、ゆっくり口を開く。
「……私には、関係ないから」
 リオはフォルクス達と一緒になってアルフェリアを探すつもりは毛頭なかった。
 冷たい瞳で、ただそこに立っているだけのリオ。
 フォルクスはアルフェリアのことに夢中で、気づいていなかった。
「……リオちゃん?」
「…………」
 それ以上、リオは何も喋らなかった。
 結局日没するまで、アルフェリアは見つからなかった。

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