第十七章 二人の旅
夕方になり、ストレシアに船がついた。
「二日ぐらい休みがあるぞ。何がしたい?」
フォルクスがリオに尋ねた。
リオはストレシアの風景を見渡しながら言った。
「何も……」
「じゃ、俺についてくるか?」
「……うん」
リオはフォルクスについていった。
ゴメスお気に入りの店についたときはすでに辺りは薄暗くなっていた。
「お嬢ちゃん、酒は飲めるのか?」
「……はい」
初めて、フォルクス以外の人間と個人的に話しをする。
少しばかりの緊張を覚えた。
「お、飲めるのか。じゃ、どんどん飲め」
そう言って、リオにグラスを持たせ、透明の酒をとくとくとついだ。
「…………」
そのグラスを一気に飲み干した。
「いい飲みっぷりだねぇ。もう一杯いくか?」
「……はい」
リオは立て続けに2・3杯飲んだ。4杯目にもう一度という時フォルクスが止めに入る。
「おい、やけ酒だかなんだか知らないが 飲みすぎだ」
「…………」
リオの頬は、すでに少し赤みをおびていた。
「大体、ゴメスが飲む酒はどれもアルコールが強いからな。お前に向いてる酒じゃない」
「……うん。わかった」
やけに素直だった。
グラスを自分の前に置くと、それきり、リオはフォルクスの言う通り酒を飲まなくなった。
「おら、フォルクスも飲め」
「ああ」
周りが盛り上がりだした。
酒がはいり踊りだすものも、歌いだすものもいた。
「やっぱり祝いの日はこうでなくちゃな」
ゴメスが、言う。
「そうだな」
フォルクスが頷く。
ふいにまた、リオの存在がまたいなくなっていることに二人 気づいた。
「……またいなくなってる」
「本当だ。もういいんじゃないか? 放っとけよ」
「………」
フォルクスはリオが今までいた場所をしばらく見つめると、ゴメスにこういった。
「やっぱり、探してくる」
「何処にいったかわからないんだろ?」
「ま、すぐ見つかるさ。今までもそうだった」
「探すのは、義務感か?」
「さぁな」
意味深な笑みをうかべ、その店から出た。
あまりにも分かりやすい位置にいるリオを見つけ、思わず噴出す。
「なんだお前。分かりやすいところにいるもんだな」
「…………」
「今度はどうしたんだ?」
リオは俯いて、言った。
「……二人になりたかったの」
「は?」
「二人になりたかったの」
聞き返された言葉を、もう一度言う。
「なんでだ?」
「話が、あるから」
「だったらそう言えばいいじゃないか。黙って出て行くなんてゴメスにも失礼だぞ」
「……ごめんなさい」
さっきより深く俯く。
「で、なんだ?」
リオは少し深呼吸をした。
フォルクスはリオが話しを切り出すのを待った。
「……今まで、ありがとう」
リオはフォルクスの目をみて、そう言った。
「は?」
「今までありがとう」
聞き返された言葉を、またもう一度言った。
「どういうことだ?」
「……言葉通り」
リオはまた俯いた。
フォルクスの怪訝な顔が、見なくても分かる。
「…………」
「……少し、甘えすぎたと思う」
「…………」
「別に最後ってわけじゃない。機会があればまた……」
「…………」
「一緒に旅したい……」
「なんで、今は駄目なんだ?」
「……甘えすぎたから」
「次の旅の時は甘えないのか?」
「…………次の旅のときは、ちゃんと解決してからくる……」
フォルクスは、頭をかきむしった。
「ということはつまり、お前の問題を解決してから来るということか」
「…………」
辺りはもう真っ暗になっていた。