第十二章 他人……
『もちろん、私はずっと側にいます。だってリオお嬢様の付き人なんですから』
『大丈夫よ。いざとなったらエーレブルー国が助けてあげるから』
――――――嘘つき……!!
リオはハッと目を覚ました。
横にフォルクスが寝ているのを見ていささか安心した。
リオは両手を顔に押し付けた。
「………………………………」
何も、考えたくなかった。
リオは寝られずに次の日の朝を迎えた。
フォルクスとセザールが気持ち良さそうに背伸びする。
「あ゛〜……いい天気だなぁ、フォルクス」
フォルクスも頷きながら、暗い顔をしているリオに気付いた。
「……どうした? 顔色、悪いぞ」
「……なんでもない」
リオは立ち上がると、早々と着替え始めた。
そんなリオにどうしていいか分からない二人は、そのまま暫く固まっていた。
「あ、そうだ。今日の昼まで俺、ここ動けないんだった」
昨日のラジアハンド騎士の1軒を思い出した。
(明日までその宿を移るなっ!)
三人の頭の中に、その言葉がよぎった。
「そうだったな……。じゃそれまで俺らブラブラしてくる」
「わかった。じゃ昼に宿屋だぞ」
「おお」
そう言って、セザールとほぼ同時にリオも宿を出た。
「おい。なんでそんなに離れて歩くんだよ」
セザールと何メートルも離れて歩くリオに、セザールはいささか不満だった。
「……他人、だから」
リオはやや大きめな声で言う。
「ほー、じゃフォルクスは他人じゃないんだ」
「…………」
確かにフォルクスとはいつも側で歩いている。
そりゃ今まで結構長く付き合ってきたし、お世話にもなっていたからだと思うが……
「貴方に関係ないでしょ」
「はいはい」
ふざけ気味にセザールは答えた。
「おい。何処か行きたいトコあるか?」
「ないけど」
「だったら俺に付き合え。ちょっと用事があるからよ」
「……………」
黙ってセザールについていった。
セザールの用というのはただ武器屋を見に行くというだけであった。
リオはいろんな武器を眺めるセザールを、武器屋の前で待っていた。
「おい。お前見ないのか?」
武器屋の中から、セザールが尋ねた。
「別に。興味ない……」
リオがそう言うと、セザールは不機嫌な顔をして
「愛想のない女だなぁ」
と呟いた。それから、またセザールは武器屋のなかからリオに話し掛けた。
「昨日、寝てなかっただろ」
気付かれていた。
リオは開き直って頷いた。
「……そうだけど」
「お前、全然笑わないから何か訳ありかなーと思ってたんだが」
「…………」
「やっぱそうなのか?」
「…………」
「おい」
「…………」
「……もういいや」
セザールは諦めて、また武器を眺めだした。
気が付くと、もう昼になっていた。