第十章 同じ気持ちの狭間で
「え? 何処にって……」
リオはアルフェリアにこれからどうするか尋ねられていた。
「だから、これからお前は何処へいくんだ? フォルクスについて行くのか?」
半分イライラしたように、アルフェリアが言うとリオは視線を変えてこう言った。
「……そんな事、貴方にいう必要ないと思うけど。」
視線を変えた先は、もちろんフォルクスであった。
「じゃあいいよ」
そう呟いてアルフェリアは他の人を探し始めた。
―――様子がおかしい……?
宿に帰ってくるなりレイチェルに詫びたフォルクスは、見るからに妙であった。
いつもの自信がない。
まるで捨てられた子犬のように、フォルクスが小さく見えた。
でもリオはそんなフォルクスに声をかけることが出来なかった。
いや、最初から声をかけるつもり等ない。
もし、お節介だと言われたら……?
もし、またお前なんかいらないと言われたら……?
そんな思いが、リオの気持ちをさえぎっていた。
―――これから私はどうするだろう……
さっきのアルフェリアの質問に自分なりに考えてみた。
本音は、フォルクスについて行く事だった。
しかし、自分には是といった旅の目的がない。“目的探しの旅”もいいだろうがそんなのは冷たい言い方をすればフォルクスがいなくても出来る事である。
フォルクスがいると安全に越したことはないが、それに甘えられないでいる自分がいた。
傷つくぐらいなら、何もしないほうがいい――
リオは、そう思い一人で何処かに行く決心をした。
――大丈夫。これ以上失うものなんてないから……
その言葉を自分に言い聞かせた。
「おい」
その言葉にハッとする。
声をかけた相手はフォルクスだった。
「……何?」
驚きながらも出て来たセリフはいたって冷静であった。
「お前、これからどうする?」
さっきのアルフェリアの質問と同じ内容にリオは少し不満を感じる。
だが少し考えてこう言った。
「一人で……出て行くわ」
その言葉の裏には影があった。フォルクスにその表情を悟られないよう必死で隠した。
「……別について来てもいいんだぞ」
「……え?」
思いがけない言葉に、リオはなんだか奇妙な感情を抱いた。
フォルクスのその言葉は嘘でいったものでもなく、しょうがないという感じでもなかったからだ。
「……本当?」
その言葉を確かめるように、フォルクスにもう一度聞く。
フォルクスは頷いた。
「ああ。ただし、俺の旅に付き合ってくれるかどうか……なんだが」
それでも構わなかった。リオは小さく頷いた。
「そうか。じゃあこれからどうするか決めなきゃな――――」
また、頷く。
昔の自分からは想像出来ない人懐っこさに自分でも驚いた。
また傷つくのを恐れて他人と関わるのを恐れていた自分が今、一人の男と旅に出ようとしている。
リオはそんな自分に微笑んでいるもう一人の自分に気付いた。