コネッカは泣き声のような声を出しながら顔を隠し、うつむいている。
「おいおい、ばあさん、オレ達が外に伝えてやるからよ、もう泣くのは勘弁してくれよ」
見かねたデントが声をかけると、勢いよく声が返ってくる。
「本当かい!」
パッとあげたその顔には涙の一筋もなく、皺だらけの顔には笑みが浮かんでいる。
次の言葉をウキウキしながら待っているようだったが、その流れに飽き飽きしていたデントはうまく話を切り替えた。
「……はぁ、またかよ……。
まあいい、オレ達はばあさんのことを外に伝える。
これでいいだろ?だからオレ達の希望も聞いてくれ。
オレ達はここにレッドドラゴンフライの卵を探しに来た。
ばあさんが持っているんなら、それをくれないか?
それが無いとガイアの主人に何を言われるか分からないし、このテーヴァを出ることもできないんだ」
卵、と聞いた瞬間、コネッカの表情が変わったのを楽は見逃さなかった。
「卵……とな。
おまえさん達、レッドドラゴンフライの卵を取りに来たのか……」
先程までのにやけたコネッカではなく、キリリとした表情のソーサレス・コネッカがそこにいた。
「卵をやるわけにはいかぬ。
あれが外で孵化したらどうなるか知っておるか?
その場所を拠点にして、目に見える範囲に卵を産み付けていくのだぞ!
きゃつらは昼間にしか卵を産めない。
だからきゃつらの昼の住処をここに限定することで今はなんとかわしが抑えておるが、外に出たらどうにもならん。
それを分かった上で卵が欲しいと言うのか?」
「…………」
二人は重い沈黙の中に入っていった。
「そうじゃろうて……。おまえさん達にはちと荷が重い。
仕方のないことなんじゃ。
わしはきゃつらがいる限りここから一生出れぬ。
それに比べれば、おまえさん達の負っているものなどちっぽけなものじゃて。
あきらめなされ……人には運命というものもあるんじゃ」
そう悲しそうな顔で言うコネッカは、心なしかさっきよりもひとまわり小さく見えた。
「拙者が……拙者がドラゴンフライを倒してきます」
何かを決心したように楽が静かにそう言った。
「おい、本気か! さっき見ただろ、あの数を!」
「見ました。そして……拙者の剣だけでは危険だというのも良く分かりました。
しかし……何もせずにここから出るわけにはいきません。
デントさんだってそう思っているはずです」
「まぁ、そりゃぁな………………
…………よしっ! わかった。
俺も協力するよ。これじゃぁ、ばあさんがあまりにも可哀想だ。
おまえの剣と俺の……俺の召喚術があればたぶん大丈夫だ」
「召喚術?」
コネッカが驚いた表情でデントを見やった。