どうも苦手だ、こういう雰囲気は。
こっそりと、フォルクスは救いを求めるように頭上を仰いだ。
雨はあっというまに小振りになっていた。通り雨のようなものだったらしい。
「俺たちに恨みでもあるのか、あの雨は。ちょうど探し物の間だけ降りやがって」
沈黙に耐えかねたフォルクスは声を出すために雨に八つ当たりをする。それで少し空気が和らいだのを見計らって、リオの方を向いた。
「あのな、リオ。もう少しは頼ってくれていいからな」
リオは少し驚いたようにフォルクスを見上げる。
「物探しくらい、俺にもできるし、大したことじゃない。
そういう時は探してくれって、言えばいいんだよ。こっちにしたって、探しもせずに突っ立ってる方が居心地が悪いんだから」
「……そう、ね」
フォルクスは、少し言葉の選び方に困ったようにしながら続ける。
「昔、知り合いに、こっちの都合なんかお構いなしに人をあっちこっちに引っ張りまわす女がいたんだけどな。
……でも、そんなやりたい放題やってたあいつでも、実はやりたいことも知りたいことも、半分もできちゃいなかった」
彼女は学生時代の終りの頃に半年だけアカデミーにいた留学生だった。
「……まぁ、そこまでになれとは言わないけど、あんまり遠慮ばっかしてると、それこそ埋もれちまうぞ。少しは自分の目的に人を使うことを覚えたら、もう少しは楽にできることもある」
どうも我ながら科白が説教くさい気がしてきた。
「でも……」
「まぁ、あれだな。とりあえず、ここに一人、使われてやるぞ、って奴が居るんだから、練習台にしてみろよ。だんだん、ゆっくりとでいいからさ」
言いながら、フォルクスは立ちあがった。雨はもう、すっかり上がってしまった。
「……さて、と。見つからんなぁ、レイチェルは。
案外、行き違いになってるとなんだから、一回、町に戻ってみるか」
さわり、と風が吹いた。
フォルクスの動きが止まる。風の精霊が、その声を届けてきたのだ。
「あ、あのバカ娘………」
その時、精霊が届けてきた、ほぼ事後報告に近いレイチェルの現状に、フォルクスが全身の力が抜けるような気分を味わったのは、言うまでもない。