ファンタジア

エルファ1

 僕がこの国、アスリースに来た理由は…………別に理由はないんだな。
 ホントはアスリースに行きたかったんだけど、よくよく考えて見ると僕って、アカデミーとかそういうのあんまり関わりたくないんだよね。
 まぁ、いつか行くと思う。
 僕は、月の出ている夜空を仰ぎ、背中にくっついた羽根をバサバサさせた。
 こういう月の夜しか、力を解放することが出来ないからね。
 他の有翼人は人間の前でも羽根を見せてるって聞くけど、僕はそんなことは出来ない。
「……………………」
 静かな夜だ。
 僕はもう一度羽根をばたつかせると、コバルト・グリーンのマントを着た。
 僕の白い上着には、茶色の古くなったベルトがグルグル巻になっている。
 そこには、同じ色の鞭が引っかかっている。

 有翼人の僕、エルファ・フィストは、結構夢見がちで、出逢いを求めて旅をしてきた。
 羽根があることを隠して。
 両親はいない。
 僕が物心ついた頃から親はいなくて、たった一人で旅をしてきた。
 優しくしてくれる人は沢山いた。
 けど、分かれるのが辛くて、有翼人であることがばれるのが怖かった。
 だからわざと、冷たくしてきた。
 それでも辛くなったときは、唄を歌う。
 そのための、バードという職業をしている。
 僕にとっての一番の安らげる場所だ。

「うっ。寒い」
 冷たい夜風に吹かれ、思わず身震いする。
(もう帰ろう)
 僕は、マントと同じ色の袋を持って、宿屋への道を、歩いていった。

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