こんにちは。やばいです。ファントムだそうです! しかも火事ってる!?
sunredが、かなり頑張っているらしい!? 俺がちゃんとこの回に登場するのかも不安な状況のようです。そしてもう一つやばい事が……次sunredに周ってくる時はこの“仮面と少女と龍使い”は“ブレス”の回数を越えてしまうことです。あっという間でしたな……(哀愁)
「―――――ファントム!」
その甘美なる響きに叫んだ自分が歓喜に震えた。この言葉の響きの中に、追いつきたくてたまらない。手に入れ、すべてを自分の物にして、いたぶりこの手で握り潰してしまいたい。何とも言えない気持ちを含んでいる。この船に居合せたことに、信じてなんか一切いない神に感謝をしたいくらいだ。サディスティックな微笑みが自然に零れる。
炎の中に立っているその影もこちらを見ていた。血にまみれ、美しいはずの髪は赤く濡れ、切りそろえられ肩にかかるその髪は、炎の生み出す風に揺れている。象牙のように白く、作られた美しさを持つ顔は、熱い炎の中にいても決して熱さを感じさせない。むしろ凍える吹雪を纏っているようだ。瞳は深く、何を見ているのか分からない。すべてを見ているようで、まるで見ていないよな、透き通っているようで、濁りきっているような……この世の例えなど持っていない瞳だった。瞳とは言えないのかもしれない。ただそこについている何も機能しないモノでしかないのかもしれない。けど美しいのだ。その造形、存在、悪意が。ためらいなんて言葉は嫌いだ。そんなものがオレの中に存在するなら、オレも終わりだろう。しかしヤツにはそんなもの無縁だった。ほら、今だってオレに微笑んでいるのだ。
ファントムは炎を纏いながらこちらにユラリと近づいてきた。微笑みを湛えたその顔に拳銃の弾を一発くれてやった。オレの想像では顔に弾があたり顔が無くなると思っていたが、さすがと言うのか弾は当たることなく壁に穴をあけた。拳銃を胸にしまい今度はナイフを手にし、相変わらずユラユラと動き近づいてくるヤツにこちらから走りナイフを顔めがけて切りつけた。
炎に包まれたこの船室は徐々に死んだ肉の匂いが鼻についてきた。死んだ人達の死肉が焼けてきたのだ。豪華の船室の面影はもうない。切りつけたナイフの切っ先はヤツを切ることなく炎だけを切ることになった。ヤツはオレの背後に周りその何も武器も持たない手を振り上げ心臓をめがけて付き射そうとしたが、心臓ではなくわき腹にその手が肉を裂いた。わき腹の肉を少し持ってかれた。
「―――――ッ!!!」
痛みと熱がわき腹に集中した。ヤツは裂いたその手をペロリと舐めている。その恍惚としたその顔。血は服に染み込み赤い染みは大きく広がっていた。死にはしない。しかし血が減少すれば、体の動きが鈍くなる。オレはその出血を止めるためにナイフを炎の中へあぶり充分熱くなった所でそのナイフの腹を傷口にあてた。ジュっと血の焦げる匂いがする。熱い。こんなことも自分で出来てしまうのもこの体に未練がないからだ。この体が使えなくなればまた、違う体にすればいい。
ファントムは手を差し出し何かを渡せと訴えているようだ。この小瓶のことだろう。誰が渡すか。せっかく手にいれたエサだ。オレが渡す気がないことが解ったのだろう。その差し出された手に次第に空気が集まりは始める。炎を含んだその空気は次第にクリスタルの剣となっていた。その剣は炎のを閉じ込めていた。剣の中で炎が揺れていた。美しい剣だ。ファントムに相応しい剣だった。その剣が揺れた。それと同時にオレはファントム目掛けナイフを握り走った。
「――――――……!!」
オレとファントムが炎の中で重なった。時が止まったかのようにオレとファントムは止まっていた。
「……」
笑いがこみ上げてくる。
「クククク……アハハ!!」
オレの腹にはヤツの剣が深々と突き刺さっている。笑うとその剣から血が吹き辺りに広がる。オレはヤツの剣の性質を知っていた。その鍔から手を離せば消えて無くなるのだ。この剣をオレの腹に収めておくには剣から手を離すことは出来ないのだ。ということは、ヤツの動きが封じることが出来たのだ。今度はオレのナイフをヤツの体に収める番だった。ナイフをヤツの剣を握っている腕の二の腕に刺してやった。しかしファントムは血液を大量に流しながら手を離した。腹に刺さった剣は消えファントムが離れた。
歌声が聞こえる方に足を持っていくと何かにつまずき俺は転んだ。
「グェ。」
エンペランサが苦しそうな声を出した。慌てて起き上がり手にヌルッとした感覚があった。
「!!! うぁあ!」
そこには腸をほとんど無くなっている人がいた。額には撃たれたのだろう跡があった。痛みに歪んだ顔のまま瞳を見開き生き絶えている。俺は言葉を失い気が遠くなりそうだったがエンペランサがなんとか意識を繋ぎとめてくれた。
「なによこれは! いったいなにがいんのよ! この船! 船ってこういうものなの!!? もう一生船には私も絶対乗らない! っていうか今すぐこの船から降りたいのよ! これからは意地でも海は飛んで渡ってやる!! ブレスくん、なんかこの船とんでもない怪物がいるみたいよ!」
俺はリエルのことが心配になり、気を奮い立たせ立ち上がり名前を大声で呼びながら歩き出した。俺の声は大声を出していても緊張感なのか、恐怖感なのか微かに震えている。
「リエル! リエール!!」
歩いていると何体もの元人間を見た。喉を噛み切られている者、心臓のあたりを丸ごと無くなっている者。
「ブレスくん大声を出すと船員を殺したヤツも来ちゃうわよ!」
「だけど、リエルが心配じゃないか」
「気にくわないのはこの銃の跡よ! 何考えてるかわかんないわよ! あの男! 馬鹿よ! 大馬鹿者よ! あたしが一喝してやらなきゃ気がすまないわ!」
俺はなんのことなのか解らずなんのこだか聞き返そうとしると、歌声が高鳴った。
リエルが女の前に立っていた。
「あそこよ! あれが怪物よ!!」
怪物?? 俺には綺麗な女に見えた。
「リエルちゃん離れなさい!!」
エンペランサが俺の胸元から飛び出し、筋肉がしなやかについている、戦闘心剥き出しの深紅の瞳をした戦闘型のドラゴンとなり、速く走るため、力強いジャンプができるため、なによりも主人を守るための瞬発力を備えた逞しい腿が動き出す。どんな相手でも闘争心は失せる事はなかった。
「ブレスくん解らないの?? 怪物がリエルちゃんの目の前にいるじゃない!」
どう見ても女に見えるのに何をそんなに慌てているのか解らなかった。霧は俺に相変わらず纏わりつき、ねっとりとしたものが俺の体を動きを鈍くさせるような気がした。