第十五章 君が選んだこと?
「……つらい?」
リオはフォルクスの目を見つめて、言った。
「別に。もう慣れた」
少しばかり遠い目をしながら答えるフォルクスに、リオは再度聞く。
「本当は、白子である自分をちゃんと受け入れてほしい?」
「は?」
リオは目線をさげた。
「……誰だってありのままの自分を見てほしいものだと思う。だから貴方も……」
「…………」
「本当は……?」
そう言って向けられたリオの瞳に、フォルクスは答えを返す事が出来なかった。
「私には、関係ないことね……」
リオは振り返って部屋に帰った。
答えが欲しかったわけではない。
ただ何処か納得のいかないこの環境が、フォルクスをどう変えてしまったのか気になっただけだ。
他人にここまで興味をもったのは、はじめてであった。
「リオ」
ふいにフォルクスが呼び止めた。
「…………」
「俺は大丈夫だ。だから、心配すんな」
「――心配なんてしてない。貴方が、選んでしてきた事でしょ」
「…………」
「これからも、そうやっていくの?」
「……多分な」
「そう……。――つらい時は、力、貸すから」
そう言って、リオは早々に部屋へ戻った。
―――誰だってありのままの自分を見て欲しいものだ
それは、リオ自身あてはまる言葉であった。