麦わら冒険隊〜エピソード2 ヤっちゃってゴメン〜

第三章 探索終了、そして・・・

「・・・ここが最後の扉、だな」自分で書いた手元の地図と周囲を見比べながらグレッグが確認した。

「全く、地上げも楽じゃないな」「ほんとだね〜」俺のボヤキにパセックが(本当にそう感じているのか分からないが)相槌を打つ。

「・・・・」リディアが無言で俺を見ている。明らかに両目が"くだらないことを言っていないで早くしろ"と語っていたが。

俺は肩をすくめてその視線を流すと、最後の扉のチェックに取り掛かった----。


DM:では引き続き城の探索を進める、でいいのかな?
グレッグ:ちょっと待った、マスター。現状で我々が敵に遭遇してマトモに戦えるのってミュランだけだよね?
DM:(全員の状況を確認して)確かに、そうだねぇ。(ヤーシュを見ながら)デストラップ発動しちゃったしね(笑)
リディア:(ぼそっと)セービングスローには成功しましたけどね・・・。
DM:(苦笑)で、どうするの?
グレッグ:(パーティーメンバーを見渡しながら)さすがにこの状況で殲滅作戦を続行するのは無謀じゃないか?
パセック:そうねぇ。休むか。
ヤーシュ:どこかの部屋で、鍵かけて休みますか?
グレッグ:(マップを見ながら)鍵がかかるような扉って今まであったか?
リディア:ありませんなぁ。
ヤーシュ:(DMに)依頼に期限とかってありましたっけ?
DM:いや、特にないよ。
グレッグ:では一旦街に引き返しましょう。
パセック:城の扉はどうしよっか?
リディア:そのままでいいんじゃないですか。もしモンスターがいなくなってくれれば我々としては楽になるんですから。
DM:なるほどね。じゃあ街へ戻る、ということで。
ヤーシュ:どれくらい(お金を)出せば全快になります?
DM:それはオプションによるね。どうするの?
グレッグ:依頼を果たす途中ですから、早く回復できるならそれに越したことはないんですが。
DM:じゃあ寺院で回復してもらうコースになるかな。そうねぇ・・・一人頭100gpで鼻血が出るまで回復してもらえるよ。
ヤーシュ:仮に安く済ませるとしたら?
DM:馬小屋とかで無料で寝て、グレッグが魔法で回復、というパターンだろうね。全快になるまでどのくらいかかるかはグレッグのダイスの出目次第、なんだけど。
グレッグ:俺様のダイスに期待するだけ野暮ってもんだぞ、ヤーシュ(笑)
リディア:では100gpずつ出して、鼻血が出るまで回復してもらいましょう(笑)
DM:みんなお金は減らした? じゃあ回復していいよ。
パセック:それでは再度地上げに行きますか。
DM:じゃあ君達はまたあの惨劇の部屋の前まで来たよ。
ヤーシュ:さっさと次の扉へ向かいましょう(笑)
DM:では次の扉についたよ。
ヤーシュ:チェックの結果を教えてください。
DM:(コロコロ・・・)君のチェックでは罠は無いと感じた。また、部屋の中から音も聞こえないようだ。あと鍵も掛かっていないと思った。
グレッグ:では開けましょう。
DM:君が扉に手をかけて開こうと試みたけど、ビクともしないね。
リディア:ヤーシュが鍵開けに失敗した、ということですか?
DM:いや、ヤーシュの調べた限りではこの扉に鍵は掛かっていない。
ヤーシュ:じゃあ開けるにはどこかの部屋でスイッチを押さなきゃいけない、みたいなカラクリ式のタイプですか?
パセック:あるいは単に壁に木の板が打ち付けてあるとかいうニセ扉、のパターン?
DM:そのどちらでもないみたいだね。というより、ヤーシュにはこの扉はどうしようもないね。
グレッグ:魔法系か・・・。
リディア:それは今の私にも何ともしようがありませんな。
ヤーシュ:とりあえず無視して先へ行きましょう。
パセック:そうするしかないねぇ。


再び城の掃除を開始した一行。途中中庭でオオカミの群れに遭遇したり、城を住処にしていた山賊(!)と戦闘になったりしながらも次々に城の住人達(と、怪物たちも)を排除していった。そして────


DM:・・・では次の扉に移ろうか。
グレッグ:(マップを見ながら)マスター、次でラストですよね?
DM:そうみたいだね。
リディア:まだあの"開かずの扉"の情報は何もありませんね。
パセック:気になるねぇ。
ヤーシュ:とりあえず扉を調べましょう。
DM:(判定)罠はない、音もしていない、鍵も掛かっていない。
グレッグ:慎重に開けてみます。
DM:部屋の中には羊飼いの石像があるね。他には何もないように見える。
リディア:用心しながら近づいてみましょう。
DM:すると君が部屋に入ったときに石像から声がするね。「こんにちは。何かご用ですか?」と言って語りかけてくる。
パセック:とりあえず返事をしよう。「こんにちはぁ〜」
ヤーシュ:襲ってきたりはしませんか?
DM:うん。話し掛けてくるだけで動いたりはしないみたいだね。
グレッグ:さしあたり危害はなさそうだな。ひとつ質問してみるか。「お前は何だ?」
DM:「・・・・」反応はないね。
リディア:では質問を変えましょう「この城について教えてくれませんか?」
DM:「いいですよ」今度は返事があるね。
ヤーシュ:なるほど。城についての質問に答えてくれる像ね。じゃあ「魔法のかかった扉の開け方を教えてくれないか?」と質問してみます。
DM:「・・・・」反応はないよ。
グレッグ:(全員のキャラ紙を見回して)・・・もしかして・・・、パセック、今の質問をしてみてくれ。
パセック:(!)なるほど。了解。「まほうのかかったとびらのあけかた、わかる?」
DM:パセックがそう質問したら像が答えるね。「あなた方の持ついかなる手段によってもあの扉を開くことは出来ないでしょう」
ヤーシュ:「何故俺や旦那の質問には答えないんだ?」
DM:「・・・・」反応はない。
グレッグ:ヤーシュ、俺とお前、それからパセックとリディアの共通点がわかるか? それが答えさ。
リディア:デミヒューマン(亜人間)にのみ答える像、なんですかね?
パセック:いや、多分性格じゃないかな。グレッグとヤーシュはニュートラル(中立)で、僕とリディアはローフル(善良)だから、でしょ?
DM:正解。ローフル以外の質問には答えない像だね、これは。
ヤーシュ:なんかナマイキだな(笑)
グレッグ:仕方ない。質問は二人に任せよう。
リディア:何を訊きます? とりあえず扉は開けられそうにないことは分かったんですが・・・。
パセック:あの中には何があるか尋ねてみよう。「あのとびらのなかにはなにがあるの?」
DM:「大きな危険、奇妙な魔法、そして大いなる財宝があのドアの向こうにあります」
ヤーシュ:「財宝?! どんな?」
DM:「・・・・」反応はない(笑)
グレッグ:"危険"とか"魔法"については訊かないのか、お前は(笑)
リディア:(笑)そこらへんも踏まえて質問をしてみます。「それらについてもっと具体的に教えていただけませんか?」
DM:「・・・・」今度はリディアの質問にも反応がないね。
パセック:質問を復唱してみますが。
DM:同じく反応はないね。
ヤーシュ:回数切れ、なのかな?
グレッグ:(質問をカウントして)・・・おそらくそうだろうな。3つの質問に答える像、なんだろう。
リディア:とりあえず街まで引き返しますか? 依頼は一応果たしましたし。
パセック:だね。これ以上ここにいてもやれることはないだろうし。
ヤーシュ:え〜! 財宝は〜?
グレッグ:(扉を)開ける手段が無いと言うておろう。差し当たり一旦撤収だ。
DM:それでは城の掃除をひとまず終えた君達が街に着いた、でいいかい?
リディア:その足で依頼人のところまで行っちゃいましょう。
DM:じゃあ依頼人の屋敷で応接室に通されるね。応対は執事のオルスさんだけどね。
グレッグ:包み隠さず話します。魔法の扉のことも含めて。
DM:その扉のことを話すとオルスさんの顔が曇るね。「では、あの城は完全に脅威が去ったわけではない、と?」
パセック:「しょうがないよ〜。だってボクたちじゃどうにもならなかったんだもの」
ヤーシュ:「でも魔法のかかった扉なんだし、中からも簡単には開けられないと思うぜ」
DM:それを聞いてオルスさんは「それは・・・あるいはそうかもしれませんが、いやしかし・・・。少々お待ちを。今主人と相談して参りますので」と言って奥に行ってしまうね。で、ほど無くして戻ってきて、「魔法の掛かった扉はこちらで開ける算段を付けましょう。ですから、その奥にある大きな危険とやらを排除していただきたいのですが。もちろん、今回の依頼とは別に報酬をご用意させていただきます」と提案してくるね。
グレッグ:(全員を見渡して)・・・特に異論はないな? では依頼を受けましょう。「乗りかかった船です。断る理由はありませんな」
ヤーシュ:財宝もあると分かってるんだし(笑)
リディア:危険と魔法もね。
パセック:ま、それは開けてからのお楽しみってことでしょ。
DM:・・・と、いう感じで今回のシナリオは一旦終わって物語は後半に続くのであった・・・。ではみなさん、お疲れ様でしたー。
プレイヤー一同:お疲れさまでしたー。


いつもの酒場、いつもの喧騒。

「全く、調べもせずに宝箱を開けるなんてどういう盗賊だ」

・・・そして酔うといつも始まる旦那のお小言。

「まぁいいじゃねぇかよ。ペンダントのおかげで死人も出なかったし、結局依頼も無事こなせたんだしよ」

いいかげん聞き飽きた説教に反論すると、リアクションは別方向から帰ってきた。

「・・・反省の色もないな」見るとリディアがいつもよりさらに冷たい視線で睨んでいた。

「そうだよー。こんどおんなじことしたらともだちとふたりでメッするよ」

そういうパセックは腰に挿したインテリジェンスソードになにやら話し掛けている。どうやら俺に対するお仕置きとやらを相談してるらしい。

俺たちのそういうやり取りを同じテーブルに座りながらミュランは黙って---何が楽しいのか、口元は微笑んでいたが---見つめていた。

「明日もまた城探索だ。今日はみんな酔いつぶれないようほどほどに、な」

そう言って旦那が締めくくると、みな適当に飲み食いして部屋に引き上げていく。

"そうだ、まだ見ぬ財宝が俺を待ってるんだ───"二階へと上がる階段を上りながら、俺の胸は早くも期待で高まるのだった・・・。


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